原作開始前
EP.3 ギルド加入、しかし……
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エルザとワタルは礼と共に軽く挨拶する。
ギルドの者はエルザには大きな拍手で歓迎したが、ワタルに送られたのは疎らな反応とひそひそ声だった。
「貴様等、何じゃその反応は! もっとしっかり歓迎せんか!」
「マスター、気にしないでください。信用はこれから勝ち取ります」
「そうか……すまんな」
「いえ」
ワタルがマカロフを宥めると、マカロフは嘆息した後で手のひらサイズのスタンプを取り出した。
「それは?」
「ギルドマークを押すスタンプじゃ。正式な妖精の尻尾のメンバーだという事を示す印じゃよ」
身分証明のようなものかと、マカロフの説明にワタルはそんな感想を抱いた。
このマークを入れるという事は、ギルドの名前を背負うという事だ。それはつまり、自分の行動が妖精の尻尾の行動として見られるという事。
迂闊な事は出来ないなと、ワタルはエルザが左の二の腕に青いマークを入れてもらうのを見ながらそんな事を考えていた。
余談だが、『あ、このギルド周りからの心象なんてどうでもいいんだ』と、評議院から送り付けられた文書の束――言うまでも無く、妖精の尻尾のメンバーが壊した物の請求書も含む――を見たワタルが思い知らされるのに、加入して一週間も経たなかった事を報告しておく。
それはさておき、ワタルはエルザの後で左肩に黒いギルドマークを入れてもらった。星族の証である星型の刺青が右肩にあるため、それに重ならないようにするためだ。
その後、ギルドの仕事に関する軽い説明を受けたワタルはマグノリアで暮らすためのアパートを借りるため、一度ギルドを出て行こうとしたのだが……
「おい、待てよ。新入り」
それを遮るように、右胸に紺色の紋章を入れた黒髪の、ワタル達より一つか二つ年下と思われる少年が声を掛けた。
黒いボクサーパンツ一丁のみという少年の身なりに少し面喰うも、ワタルは応えた。
「……何だ?」
「俺はグレイ、グレイ・フルバスターだ。俺と勝負しろ、新入り!」
「……ことわ……」
いきなり勝負を仕掛けてきたグレイと名乗る少年の挑戦に、ワタルは答えようとしたのだが……
「人の邪魔をするな、この変態が!」
「あだッ!?」
「……お、おい、エルザ……」
その前に、怒ったエルザの拳に殴られた。
ワタルはいきなりの展開にさらに面喰い、エルザを宥めようと試みるも、当の彼女は少年と口喧嘩を始めている。
「痛てて……何すんだ、お前!」
「何とはこちらの台詞だ! せめて服を着てから話し掛けろ! ここは変態のギルドか?」
「服って……あー! いつの間に!?」
「無自覚か、貴様!?」
黒いボクサーパンツ以外は何も見に着けていない少年に、エルザが怒りを強くする。
初日にこれ以上
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