暁 〜小説投稿サイト〜
Re;FAIRY TAIL 星と影と……
原作開始前
EP.3 ギルド加入、しかし……
[4/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ったが……」
「……あの日、俺は盗賊の討伐依頼を受けて本拠地を出ていました。ところが、依頼を終えて帰ってきたら――――」

 家族も仲間も、すべて死に絶えていた。出発前は当たり前に生きていた者たちが皆屍になっていた。
 魔法と戦闘の修練は積んでいたとはいえ、子供一人ではギルドの運営などできるはずも無い。壊滅の原因を解明する事も出来ず、夜逃げ同然で放浪の旅に出たのだ。

 覚えている限りで、そんな身の上話をしたワタルをマカロフはじっと見つめ、白い髭を撫でながらしばらく考えると、口を開いた。

「……はるばるこんな西方まで、何をしに来た?」

 マカロフの問いかけには、ワタルが『ある』と確信していた拒絶の意思が込められておらず少し困惑したが、答えた。

「別に何も……。一ヶ月くらい前に、このギルドに入りたいっていう女の子と会ったからここに来ただけです」
「それは、あのエルザの事じゃな?」

 マカロフは、黙して頷いたワタルの目をじっと見て、再び尋ねた。

「フム……その名(ヤツボシ)を名乗ったのは何故じゃ? よもや、その名が及ぼす影響を認識していない訳でもあるまい。隠そうとは思わんかったのか?」

 純粋な疑問だった。好悪のいかなる感情も込められていない――ワタルが未熟ゆえに読み取れないだけで込められていたのかもしれないが――マカロフのその質問から、ワタルは自分が試されているかのように感じ、少し考えると口を開いた。

「……どんなに偽ろうとも、俺が星族の末裔だって事は、誰にも何にも変える事が出来ない事実です」

 確かに星族はその存在を大衆から恐れられ、疎まれた。その力の強力さ故に、そして力を振るう事に何の躊躇いも無く、殺しすら厭わなかったために。
 その果てに滅んだのが自業自得の結末だというなら、その事実を受け入れるしかない。

 それでも……。

「長子として生を受け、一族を背負う者になるべく育てられてきた」

 星族という武闘派集団の頂点に立つために必要な力をつけるため、大人の戦士たちに叩きのめされながらも己を鍛えてきた。血反吐を吐きながら固い畳に叩きつけられ、さっさと立てと罵られる毎日に最初は不満を持ったものだが、我慢もできた。
 それは厳しい修行の中で自分の力が強くなっていくのを実感したからだけではない。
 究極の武を求め、武に生きた者たち――戦う事でしか己を表現できなかった者たちが鍛えた拳に剣、そして魔力は自らが歩んだ道程を言葉より雄弁に語っていたからだ。



 自分が為し得なかった事を、お前が為してくれ、と。



「それを偽るという事は、先人たちを侮辱して否定する事だから」

 彼らの行いは決して褒められたものではない。寧ろ100人に聞けば99人は顔を顰めるだ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ