原作開始前
EP.3 ギルド加入、しかし……
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ったように静まり返る。
その次の瞬間……ギルド内はハチの巣を突いたような騒ぎになった。
ある者は驚愕し、ある者は困惑し、ある者は慌て、ある者は……ワタルを睨んでいた。
その全ては大人の魔導士で、子供のなかにはいつもの粗雑でも陽気な様子と違う大人たちの様子に不安を隠せないように見やる者もいた。
「え……皆、一体どうしたんだ?」
その中で一人、エルザは困惑して、ギルドの面々と無表情のワタル、そしてこころなしか険しい顔をしているマカロフを見比べた。
「エルザとやら……少しワタルを借りるが、良いか?」
「え……ワタルを、ですか?」
「俺なら大丈夫だ、エルザ。心配するな」
エルザはワタルを心配そうに見たが、彼が少しだけ笑ったので、マカロフの頼みを了承した。
「……分かりました」
「すまんな……ちょっと来てくれるか?」
「了解です」
そう言ってワタルはマカロフの後について、ギルドの奥に消えていった。
あとに残されたのは心配そうな顔をしたエルザと、固唾を飲んで見守る大人たち、そして彼らの後ろに隠れた子供たちだった。
ワタルがマカロフに連れてこられたのは、ギルド内の今は使われていない個室だった。
「ここなら誰にも聞かれないし、見られない。安心しなさい」
「……ありがとうございます」
「さてと、単刀直入に聞くぞ。お前さん、本当に“星族”の者か?」
ワタルはマカロフの問いに対して、黙って右の肩口に手を当てると、提灯のような光と共に、星形の刺青が浮かび上がった。
その答えに、マカロフは唸る。
「その刺青、事実、か……」
「旅をするにもコレのおかげでいろいろ不都合があるので、簡単な隠蔽魔法で隠していましたが……本物です」
生まれて間もないころに刻まれた刺青は一族の証。自らの力を示すために大勢の者を殺し、その命を喰らってきた業を示すもの。
そのルーツはイシュガル大陸の最東端。規模こそ小さいものの、魔力を感じ取る事に優れた体質を武器にした武闘派魔導士集団たる彼らは高い戦闘力だけではなく、目的のためなら命を奪う事を躊躇わない凶暴性と冷酷さも持っていた。
彼らが君臨していた極東はフィオーレに比べると魔導士が極端に少なく、そこに住む者は星族の力を当てにして依頼をする事で、星族は魔導士ギルドのような活動をしていた。問題だったのは、彼らは仕事を選ぶ事をせず、禁止されている暗殺依頼すら断ることなく遂行していた事だ。そんな星族の活動を魔法評議院が認可するはずも無く、当然闇ギルドである。
魔導士ギルドが多いフィオーレでは彼らが活動する事は無かったが、星族の悪名は新聞や噂話に乗って大陸全土に響き渡っていた。
「2年前を境に、その名を聞く事は無くな
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