原作開始前
EP.3 ギルド加入、しかし……
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…?」
また一人旅が始まるのかと、鬱屈した心境だったワタルは、見開かれた左目と声に込められた悲しげな色に思わず続きを飲み込んでしまいそうになる。
「おい坊主! 女の子を悲しませるのかァ?」
「そんなの男じゃねェゼ!」
「いいぞもっとやれ」
見慣れない子供が二人入ってきて、周りで酒を飲んでいた者たちは様子を見るかのようにざわめいていたのだが、これは面白そうだと踏んだのか、畳み掛けるように囃し立て始める。
「部外者でも関係なしか、このギルドは……」
鋭いのか、それともノリが良いだけなのか……とにかく、飛んできた様々な野次と変わらずこちらを見つめるエルザの眼差しに、結局ワタルは溜息と共に折れた。
「……ギルドマスターの許可が下りたらな」
「本当だな?」
「ああ」
「よし!」
エルザはワタルの返事に満足したのか、歩くのを再開した。
その後ろについて行くと野次や口笛がまた飛んだが、ワタルはもう気にしないことにする。
「(ホッとしているのか、俺は……?)」
しかし、ワタルは沈んでいた心が軽くなったのを感じていた。
「(なぜ……いや、どうでもいいことだ。このギルドに、いやマグノリアにいられない事は変わらない。エルザとも……)」
別れることになる。
ワタルは妖精の尻尾のマスター、マカロフ・ドレアーと話している緋色の髪を見ながら、諦観と共にそう胸中で呟く。
少し胸が痛むのが何故かは分からなかったが……1ヶ月も一緒にいたからだろう――そう思うことにした。
「そうか、ロブの知り合いか……。ロブは……今、どうしておる?」
「――その、ロブおじいちゃんは……私を庇って……」
「……そうか……悪いことを聞いたな、エルザ。じゃが、もう大丈夫じゃ。妖精の尻尾はお前さんを受け入れよう。今日からここが君の家であり、ギルドの仲間は君の……家族じゃ」
何の前触れも無く現れた緋色の髪に右目に眼帯をした少女と黒髪の少年。
エルザと名乗った少女の方からもたらされた旧友の訃報に、ギルドマスターのマカロフは一瞬悲しそうな顔を浮かべたが、温かい言葉を彼女に掛けた。
それに同調するように、ギルドの者たちも彼女を歓迎して騒ぐ。
話の区切りがついたのを察して、ワタルは彼女に近づいた。
「話は終わったのか、エルザ?」
「ああ。……マスター、こいつもギルドに入れたいんだが……」
「おお、今日は二人も新人が増えるのか。こりゃ、歓迎のし甲斐もあるわい……お前さん、名は何という?」
「――ワタル。ワタル・ヤツボシです」
マカロフは嬉しそうにワタルに尋ね、ワタルも名乗ったのだが……ギルド内は水を打
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