27部分:第二十七章
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」
「その男が誰なのかはわかりません。しかし彼はこう言ったと伝えられています」
主は騎士に説明を続けます。
「この剣を抜いた者はこの世で最も大切なものを手に入れると。そう言ったのです」
「そうなのですか」
「はい。如何でしょうか」
騎士に顔を戻してきました。
「貴方が抜かれては」
「私がですか」
騎士は主からの申し出を聞いて目をしばたかせました。
「宜しいのですか?」
「何がですか?」
「私は貴方達の」
「それはそれこれはこれです」
主はそう騎士に言葉を返しました。
「確かに貴方は我が父の仇。それは忘れてはいません」
「はい」
その言葉には応えます。しかしその彼に別の目を向ける者がいました。その者とは。
「あの、騎士様」
「何か」
蜂蜜色の豊かな髪に湖の目を持つ美しい娘でした。彼女が彼を見詰めていたのです。
「頑張って下さいね」
「え、ええ」
「待て」
しかし主がその娘の前に立ち塞がりました。
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