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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
ダブル・ヒーロー
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まったく見えない。だが、その奥でほの暗く輝く鬼火のような赤い眼光だけは窺えた。

そこに――――どこか懐かしい光を捉えるのは、おかしいだろうか。

「君は…………どっちなの?」

『……ぼくは、僕だ』

「……そう」

僅かに、微かに失望の色を見せたフェイバルは、しかし一瞬の後に淡い微笑の奥にそれをしまい込む。

「なら、話は簡単だね。私は君に足りない最後のピース――――《狂哀》を埋め込んで、今度こそ《ファル》に会う」

底の見えない、昏く玄い嗤い。

それは、堕ちる所まで堕ちたモノの、千切れるほどに痛々しい――――どこか疲れ果て、すすり泣くような決意の証だった。

『止めるよ』

そして――――

『お前にどんな事情があろうと知ったことか』

辛かっただろう。

悲しかっただろう。

憎かっただろう。

恨んだだろう。

しかし、それら全てをひっくるめて捨てた少年は宣言する。

『《災禍の鎧(こんなもの)》は二度と存在しちゃダメなんだ。だから、僕は絶対に止める』

「くすくす……止める?勝手に当り障りのない言葉で誤魔化そうとするなよ。逃げようとするな。はっきり言えよ。体のいい言葉で丸め込もうとするんじゃない」

ミシィ!!という凄まじい音が破裂する。

砕けんばかりに握りしめられた少女の拳から放たれた音だった。

だが、辺りを震撼させる振動の数倍を行く莫大なナニカが、地震の前兆に起こる初期微動のようにフェイバルの華奢な身体を通じて漏れ出していく。

滲み出たそれらは少年の身体中の毛を総毛だたせるのに充分な脅威を孕んでいた。

「いつも!いつもいつもいつもッ!!いつもそうだ!当たり障りのない言葉で手前ェの身勝手で薄汚い《善》を押し付けてくる!一見すると正しいように思うがそれは違う!それはただの独善だ!!」

例えば。

どうしようもなく更生しない、生まれながらに決められていたような悪人がいたとしよう。

唯我独尊、厚顔無恥、傲岸不遜。

そんなヤツが、幼い子供を連れていたらどうする?一方的に罵詈雑言を浴びせかけ、その子供を無理矢理にでも引っぺがすのか?

それが、ただ迷子を案内していただけかもしれないのに。

独善的で、偏見的。

そういう奴らに限って、真実を知った時に一様に言うのだ。

だってそんなこと知らなかったし。そもそも疑われるようなことをするアイツのせいじゃないか、と。

いけしゃあしゃあと、自分のことは棚に上げて。

「私を止めたければ殺してでも引きずり落とせ!!やるんなら自分(テメェ)の自分勝手な正義を圧し通せ!!押し付けろ!!それッくらいの覚悟もないヤツがヒトの夢に立ちふさがってるんじゃないッッ!!!」


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