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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
ダブル・ヒーロー
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世界が震える。

ひび割れは徐々に速度を増しながら伸び、湾曲する壁から床までをも覆う。

だが、それら一切を()()し、蓮は心の底から出た言葉をただ放つ。

「挑戦しろよ、ヒーロー」

がッ、と。

差し伸べた手が、確かに、そして力強く握られる。

握り返される。

「………………きみは……」

呟きが聞こえる。

だが、それはもう弱くはなかった。僻みも、嫉みも、恨みも、もう何もない。

何かを守ろうとする(ヒーロー)の言葉だった。

「ぼくと、きみは、同じなんだ。……この世界にいる誰もが、きっと、根っこのところでは同じなんだ…………」

言い切った後、少年は今までずっと俯けていた顔を、わずかながら持ち上げた。表情は読み取れなかったが、二つの澄んだ瞳が蓮の眼を捉えた。

その輝きを見返し、しかし蓮はにっと不敵に笑った。

「なんだ。今更気付いたのか」

その返答に少年が耐えかねたかのように、いや長年の澱を全て吐き出すかのように口許を笑みに歪ませた。

そして言う。

「……なぁ主人公(ヒーロー)、最後に一つだけ教えてくれないか?」

「何だよ」



()()……()()?」



――――瞬間。

暗闇の世界が、煌めく無数のガラス片と化して、一気に砕け散った。










孤島南部。

高低の激しい赤茶けた山麓地帯の最中を歩く人影があった。

もはや隠す気もないのか、素顔を空気にさらす少女――――フェイバル。

Six little boys kicking all alive,(6人の男の子 跳ね回ってた)One kicked the bucket and then there were five.(一人くたばって 5人になった)

ふんふん、と拍子をつけながら、少女は澄んだ歌声を大地に響かせる。稜線の間を抜けてくる風は、涼やかな歌を乗せて静かに広がっていく。

Five little boys on a cellar door,(5人の男の子 穴蔵の戸の所にいた)One tumbled in and then there were four.(一人落っこちて 4人になった)

足元に咲く名もなき花が、その花弁をゆるやかに揺らした。

その揺れが収まった後、少女は静かに首を巡らせ、反転する。

背後。

そこにはいつの間にか、全身を黒で覆う小さな少年が出現していた。

「来たね」

『来た』

陰々と響く声は、金属質なエフェクトを伴って耳朶を叩く。

ある種のヘルメットのように顔面を覆い尽くす黒い過剰光のせいで、表情は
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