第167話 襄陽城攻め前夜2
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者になるだろう。そして、太守の座も追われるでろうな」
「それではお約束と違います!」
焦った甘寧は顔を上げ正宗に訴えた。
「私はお前の忠義に免じて孫文台を許すのだ。お前が孫文台の元を去るなら許す意味がないだろう。この私を謀った罪と褒美を不当に得ようとした罪で孫文台から長沙郡太守の官職を罷免する。全てはお前次第だ。お前はどうするのだ?」
「清河王はそれでよろしいのですか?」
困惑した甘寧は正宗を窺うように言った。彼女は正宗の申し出があまりに自分に都合がいいので何かあるのではないかと勘ぐっているようだった。
「良い。この場にいるのは余と泉とそなただけだ。泉は誰にも喋らん。お前が口を噤めば丸く収まるのだ」
「ありがとうございます!」
甘寧は心底感謝しているのか正宗に平伏すると感極まった声で礼を述べた。
「益州牧・劉君郎殿の件で困ったことがあれば頼るがいい。力を貸そう。私が荊州を離れてた後は袁公路を頼れ。全て話を通しておこう」
甘寧は心底驚いた表情で正宗を見ていた。甘寧は益州で罪を犯し劉焉から命を狙われている。その彼女を劉焉から守ることを正宗が非公式ながら明言したのだ。彼女と正宗が出会った直後、正宗は劉焉との争いを嫌煙していたのだ。彼女の驚きも当然のことだろう。
「何故ですか?」
甘寧は正宗に聞いた。
「お前が死んでは惜しいと思っただけのこと。それでは理由にならんか?」
甘寧は感動した様子だった。
甘寧は正宗に感謝してたようで何度も正宗に礼を述べて去っていた。彼女が去ると泉が正宗に駆け寄った。
「正宗様、お戯れがすぎます!」
泉が正宗に不満を言った。
「確かに戯れが過ぎたな。以後気をつける」
「そうしてください。心臓が止まりそうでした」
困った表情をした泉は正宗に言った。
「邪な考えを抱く女が正宗様に同じ手で近寄ってきたらどうされるのですか?」
「このようなことはそうそうやるつもりはない。今回のことで孫家に種を蒔くことはできた。不和という種をな」
正宗は笑みを浮かべた。
「泉、甘興覇をどのような人物と見た」
「意外に恩義に厚い人物だと思いました」
「甘興覇は元々益州に侠として生きていたのだ。侠にとって義理は蔑ろにするのは心情的には許せないだろうからな。だが口だけの侠もいる。だから甘興覇を揺さぶったのだ。あの様子なら私から受けた恩を忘れることはないだろう。いずれ役に立つかもしれん」
正宗は泉に自分の考えを説明しだした。
「深いお考えがおありだったのですね」
泉は得心したように何度も頷いていた。
「それに甘興覇は孫仲謀に近い存在のようだしな。私に恩を感じる者が孫仲謀の側にいることはよいこと
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