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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第167話 襄陽城攻め前夜2
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 孫策は孫堅の落ち着き払った態度が気に入らない様子だ。

「蓮華がいるから大丈夫だと思っている。少なくとも滅ぼされることはないだろね。冷や飯を食う羽目になっても蓮華には車騎将軍から声がかかると思っている。そこから運も開けてくるかなと思っている」
「すっごい楽観的ね。蓮華が手篭めにされちゃったらどうするのよ!」
「そうなったらそれはそれでいいんじゃないか。姻戚の間柄になれば相応の待遇は受けられるはずだよ」
「弄ばれて捨てられるかもしれないじゃない!」

 孫堅は孫策の言葉に苦笑した。

「車騎将軍はそんな男には見えないけどね。聞けば車騎将軍に寝返った蔡一族を一人朗官にしたらしいじゃないか。そいつは一族から爪弾きにされ不遇を囲っていた庶子みたいだけどさ。庶民への売名とも取れるが役に立ちそうにない面倒そうな奴を傍に置くのは酔狂だろ。私なら迷わず始末するよ」

 孫堅は口角を上げた。

「二人とも何勝手なことを言っているんです!」

 孫権は顔を真っ赤にして二人に抗議していた。

「でも清河王は悪には厳しい御方ですが弱い者には情け深い方です」

 孫堅と孫策を非難するも、孫権は孫堅の話に同調していた。孫策はそんな二人を面白くない様子で見ていた。



 孫堅達が正宗軍の陣所から離れた頃、甘寧は軍議の席上に足を運んでいた。現在、この場には彼女と正宗と泉のみだった。後は護衛が入り口の外に二人いるだけだった。この場で話されることは外には漏れることはないだろう。

「清河王、甘興覇まかり越しました」

 甘寧は片膝をつき正宗に拱手し頭を下げた。

「甘興覇、わざわざ呼びたててすまんな」

 正宗は甘寧に優しい笑みを浮かべ声をかけた。彼の態度に甘寧は戸惑っている様子だったが直ぐに平静を装った。

「泉」

 正宗は彼の左に立つ泉に声をかけた。彼女は両手で小さい漆塗りの台座を持っていた。その台座の上中央には布袋が置かれている。泉は彼の声に促されるように甘寧に近づき、彼女の面前で体勢を落とし台座を置くと正宗の左隣に戻っていった。正宗は泉が側に戻るのを確認すると甘寧に視線を戻した。

「甘興覇、孫文台からお前の殊勝な話を聞いた。私の檄文を孫堅に昼夜を問わず走り続け送り届けたそうだな。その労に対する褒美だ。遠慮はいらん。受け取るがいい」

 正宗は甘寧に言った。しかし、甘寧は悩んだ表情で台座の布袋を凝視していた。

「どうした遠慮はいらんのだぞ? 受け取るがいい。お前の主人である孫文台には既に話を通している」

 正宗は甘寧が遠慮していると思ったのか彼は彼女に褒美の品を受け取るように促した。しかし、甘寧は受け取ろうとしなかった。孫堅から黙って褒美を受け取れと言付かっている甘寧だったが正宗
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