第167話 襄陽城攻め前夜2
[4/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
出会いから関係が良好になるまで苦労したため、孫策の考えが理解できないのだろう。それは孫策にも言えた。孫策は母・孫堅が正宗に殺されかけたという最悪の出会い以降、特に正宗との接点は無かったため致し方ないのかもしれない。
「清河王はそんな方ではありません」
孫権はきっぱりと断言した。孫策は孫権の発言が気に入らない様子だった。
「じゃあ、どういう人なのよ?」
孫策は憮然とし孫権に聞いた。
「清河王は武勇に優れた方です。気難しい方ですが根はお優しい方です。敵対した者達でも事情を汲むだけのものがあれば情けをかける度量もあります」
孫権は迷い無く真剣な表情で孫堅と孫策に答えた。孫策は孫権の言葉が信じられないのか半目で孫権のことを見ていた。
「ありえない」
孫策は独白する。すると孫堅は左手で孫策の頭に手を載せた。
「雪蓮、蓮華の目を疑うのかい? この子の人を見る目は確かだと思うがね。思春の素性を知った当時はあいつにきつく接してたらしいけど、今日は気遣ってたしね。劉景升みたいに狭量じゃないのは確かだろ? それに車騎将軍の幕僚は名門もいるが在野の者の方が多いみたいだしね。雪蓮、お前こそ偏見で目を曇らせるんじゃないよ」
孫堅は孫策の頭を軽く二三度と叩いた。
「母様も車騎将軍を信用しているわけ?」
不貞腐れた様子の孫策は孫堅に訊ねた。
「私は娘の目を信じているだけだよ。私が車騎将軍に睨まれるのは納得はしちゃいないが身から出た錆みたいなものだしね」
孫堅は眉間に皺を寄せ苛ついた表情を浮かべた。彼女は正宗に遺恨があるようだ。
「私も娘なんですけど?」
孫策は孫堅を半目で凝視した。孫堅は不貞腐れた孫策を見て豪快に笑い出した。
「私は雪蓮も信じているよ! でも蓮華は雪蓮より長く車騎将軍に接している。違うかい?」
孫堅は口に笑みを浮かべ雪蓮を見た。雪蓮は溜息をつく。
「分かったわよ。でも、車騎将軍は孫家の存在を快く思っていないが気がするの。なんとなくそんな気がする」
「そんなの今日の車騎将軍の態度で分かってることだろ。向こうはそれを隠すつもりはないようだしね。劉景升みたいに影でこそこそと陰湿にやられるよりましだよ」
孫堅は孫策の忠告を一蹴した。
「私と雪蓮は嫌われてみるみたいだが蓮華には目をかけているみたいだしね。その理由は何となく分かる気がするからね」
孫堅は孫権に視線を向けた。
「私も雪蓮も毎回夫から注意されるほど短慮で人を切っちまうからね。車騎将軍は敵味方関係なく人の命を大切に思っているような甘ちゃんみたいだし。私や雪蓮を嫌うのは当然だろうね」
「母様、分かってるなら自重してください」
孫権は困り顔で孫堅に言うと深い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ