第167話 襄陽城攻め前夜2
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ないことを甘寧は知っているだけに尚更なのだろう。
「ばれやしないさ。思春。これを隠さないと私達は路頭に迷うことになるんだ。悪いが頼まれてくれないか」
孫堅は甘寧に合掌して頭を下げ頼み込んだ。
「文台様、畏まりました」
甘寧は孫堅に頼まれ困った表情をするも、孫堅の頼みを聞き入れた。
「じゃあ頼んだよ」
孫堅は甘寧の背中を威勢良く叩くと甘寧を送り出した。甘寧はつんのめりそうになりながらも体勢を整えながら陣所に向かって行った。孫権は心配そうに甘寧の後ろを見ていた。
「母様、甘寧を止めましょう。私が行ってきます。私も清河王と面識があります。清河王なら誠心誠意謝罪すれば分かってくださいます」
「蓮華、余計なことをするんじゃない!」
孫堅は孫権を強い口調で止めると孫権に馬に乗るように促した。孫権は渋々馬に騎乗した。孫堅はそれを確認すると自分も馬に騎乗した。
「さあて。蓮華、先に行くよ。甘寧なら上手くやってくれるよ」
孫堅達はその場を離れ自分達の軍が駐留する場所に向かって行った。
「母様、やっぱり言わせていただきます!」
孫権は陣所から二里(八百メートル)ほど離れた頃、上機嫌に前を進む孫堅に突然声をかけた。孫堅は馬を止め振り返ると驚いた表情で孫権を見た。
「蓮華、突然どうしたんだい!?」
孫堅は孫権に言った。
「どうしたじゃないわよ。何で思春にあんなことをさせるのよ。どうして清河王の前であんなことを言うのよ!」
孫権は感情的になって孫堅に怒鳴った。孫堅の甘寧への対応が許せない様子だった。生真面目な孫権としては孫堅の行為が我慢にならないのだろう。
「思春の件かい? 黙って褒美を受ければ問題ないさ。褒美は思春のものにすればいいよ。清河王に嘘をついたことは今更言っても仕方ないだろ。このまま嘘を突き通すしかない。それとも蓮華を車騎将軍に傍に控えさせてもうらう件かい」
孫堅は飄々とした様子で孫権に言った。
「全部よ!」
孫権は孫堅に抗議した。孫堅は孫権の剣幕に困った顔になり右手で頭の後ろを掻いた。
「蓮華、仕方ないだろ」
孫堅は孫権から視線を逸らした。
「何が仕方ないのよ!」
孫権は孫堅の態度が気に入らないのか詰め寄った。
「蔡徳珪が荊州中から兵糧を買い漁り、豪族達が車騎将軍に献上する兵糧を買い漁ったおかげ兵糧の値が上がっているんだ。それに襄陽城攻めに間に合うように強行軍だったんだ。一万二千もの兵を食わせる兵糧なんて手持ちにある訳ないだろ。蓮華は私に略奪で調達でもしろというのかい。そんな真似したら私は今度こそ車騎将軍に殺されるよ」
孫堅は開き直って孫権に文句を言い出した。
「言い方があっ
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