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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第167話 襄陽城攻め前夜2
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 孫堅は孫策と孫権を連れ立って上機嫌で軍議の場から出て行った。彼女達は陣所を出るために入り口に向かった。入り口には甘寧が馬の番をしており、彼女が孫堅達の姿を確認すると孫堅達に駆け寄ってきた。

「文台様、軍議は終わったのですか?」
「思春、ご苦労さん!」

 孫堅は機嫌良さげな笑顔で甘寧に声をかけた。孫堅達は思春から馬の手綱を受け取ると各々の馬に跨がった。甘寧は三人が馬に乗るのを確認すると自らも馬に乗ろうとした。

「忘れるところだった! 思春、車騎将軍がお前をお呼びだよ」

 何か思い出したように孫堅は馬から降りると甘寧に掛けよった。

「それで何だけど」

 彼女の肩に手を回しひそひそ声で話し出した。

「文台様、清河王が私のような者に何かご用なのでしょうか?」

 甘寧は孫堅の話に困惑している様子だった。彼女にとって正宗は苦手な存在なのかもしれない。

「それで何だけどさ」

 孫堅は甘寧に言いにくそうに口ごもる。歯切れの悪い孫堅の様子に甘寧は不安そうな表情に変わる。

「文台様、話とはなんでしょう?」

 甘寧は孫堅に話しを続けるように促した。彼女も孫堅の雰囲気から内密な話と理解したのか小さな声で話していた。

「それがさ。車騎将軍と問題を起こした時につい嘘をついてしまってね」

 孫堅は苦笑いを浮かべ甘寧を見た。彼女は甘寧にことの経緯を話し始めた。
 甘寧は孫堅から打ち明けられ困惑した表情をしていた。自分の預かり知らないところで話しが進んでいるのだから当然のことだろう。

「母様、車騎将軍に本当のことを話しましょ」

 孫権は甘寧のことが心配になったのか、孫堅と甘寧の間に入ってきた。

「しっ! 声が大きい!」

 孫堅は孫権に駆け寄り孫権を黙らせると周囲を見回す。衛兵が孫堅達のことを変な目で見ていたが、孫堅は愛想笑いをすると孫権を馬から下ろした。

「蓮華、そんなことをしたら私は今度こそ太守の座を奪われるじゃないか」
「それだけのことをしたんだから仕方ないじゃない」
「馬鹿かい。私がどれだけ苦労して長沙郡太守の座を得たと思っているんだい」
「巨星が反乱を起こしたから太守の役目が回ってきたんじゃないですか」
「いいから黙ってな」

 孫堅は孫権を黙らして甘寧を呼び寄せまた肩に手を回した。

「思春、悪いけど車騎将軍から褒美を黙って貰っておくれ」
「よろしいのですか? 露見したら文台様のお立場が危うくなるかもしれません」

 甘寧も孫権と同意見のようだ。相手がそこらの豪族ではなく、朝廷の重臣であり強大な軍事力を保有する、正宗であるため嘘をついたことが露見した場合、どんな目に合うか想像できないと考えているのだろう。また、正宗が孫家に快い気持ちを持ってい
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