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大切な一つのもの
24部分:第二十四章
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第二十四章

「それを無理強いしても結果は不幸になるだけだ」
「わかってるじゃない」
「けれどこのままだと」
「方法はある」
 騎士はにこりと笑いました。何かと知恵が先に立つと言われている炎の騎士ですが今はにこりと明るい笑みを見せるのでした。
「一つね。確実にこの問題を解決できる方法が」
「それは何?」
「よかったら教えて」
「いいかい?」
 あらためて三人に話します。
「まずはね」
「ええ」
「成程」
 三人に話をします。そうして話が終わると騎士は身を隠します。暫くして背の低いあまり良い顔をしているとは言えない貧相な男がやって来ました。
「おおい娘さん達」
 乙女達に河の上から声をかけます。
「いるかい?いたら返事をしてくれ」
「何よ」
「その声はアルベリヒね」
「ああ、わしだ」
 アルベリヒは河辺の方に出て来た乙女達に声をかけました。
「実は今日はあんた達に贈り物がある」
「あら、贈り物」
「何かしら」
「ほら、これだよ」
 そう言うと両手に持ちきれないだけの宝石を出してきました。赤に青に緑に紫にもその色は眩いばかりです。
「この宝石をあげるよ。だから」
「だから?」
「わしと付き合ってくれないか?」
 そう乙女達に言います。
「よかったら。その、つまりな」
「あら、私達なの?」
「本当に?」
 乙女達は宝石を見ませんでした。何故かアルベリヒの後ろを見て彼に言うのでした。
「あんた達以外に誰がいるんだ」
 アルベリヒはむっとした顔で三人にまた言いました。
「いないだろう?だから」
「いるじゃない」
「ねえ」
 ところが三人はこう彼に告げました。
「私達よりずっといい人が」
「それに気付かないなんて馬鹿な人」
「わしにそんな人がいるものか」
 アルベリヒは顔を顰めさせて三人に言い返しました。
「わしみたいに醜い者に。そんな人が」
「あらあら、勝手にそう思うから」
「駄目なのにね」
 三人はムキになる彼に対して笑いかけます。彼が非常に劣等感が強いのを見抜いてそれを刺激するようにして言葉を進めています。
「では聞こう」
 アルベリヒは顔をさらに不機嫌にさせて三人に問います。
「それは誰だ?そして何処にいる?」
「後ろに」
「後ろだと」
「そう、貴方の後ろにね。いるじゃない」
「馬鹿な、そんな筈が」
 そうは言いながらも気になって後ろを振り返ります。するとそこにいたのは。
「何とっ」
「ね、いたでしょ」
「私達は嘘はつかないの」
 乙女達は笑ったままでした。その悪戯好きそうな顔でまた言葉をかけます。
「言った通りでしょ」
「貴方の後ろに」
「わしの後ろにだと!?」
 そう言われると気になって仕方がありません。けれど警戒して振り向きま
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