dream
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昔は知ってた筈の温かさ…………どう接すれば解らない。
だから中途半端な距離を作ってしまう。話し掛けられるけど親しいって訳じゃない。
例えるなら友人A君って感じだ。
俺は、怖いんだ。
人と接するのが……家族と接するのが…………。
親しければ親しい程、俺は気付いてしまう。俺は関わっちゃいけない人間なんだと。
だから割り込む事を、人の輪から入れないし入らない。
人間と話す事は出来ても、人間と接する事は出来ても、親しくなる事は出来ない。
踏み止まる……踏み留まってしまう。差し伸べられた手を無視して俺は…………逃げてしまう。
人の痛みを理解出来ぬなら最初から逃げるべきだ。人の傷みを分かち合えないなら最初から否定すべきだ。
――――――恐怖から逃げても、結果は変わりませんよ兄様。
――――――あの時の様に接すれば良いのです。さぁ、思い出すのですわ。
――――――皆でお料理した時の事、今日の出来事は真実です現実です。
――――――貴方は変わられた。だから、貴方は貴方なのです。
――――――私達の願望を叶える為に貴方は変わらなければ成りません。
――――――変わると言っても人間的にですけど…………。
――――――兄様の成長は私の成長、私の成長は兄様の成長ですわ。
――――――歩み続けるのです。歩み続ければ解りますよ、貴方の探し求める曖昧な感情が。
――――――私は何度でも貴方の耳元で囁きます。
――――――兄様のラストオーダーは魔法少女ですか?
馬鹿馬鹿しい。
シャワーを浴びながら思った。
哀れだな俺、馬鹿だな俺、クズだな俺。
散々慰められて…………散々悔やんで、散々笑った。
だから…………進めるんだな。
まだ、家族って奴は理解できない。もしかしたら理解できないかも知れない。
理解するのは簡単で、実践するのは困難な結論は今の俺の目標だ。
諦めなければ進める…………お前の言った通りだよ、俺は諦め掛けてた。
「まぁ、俺の感情はお前の感情だ。
考えてる事も悩んでる事も、共有されてるから俺達は兄妹なんだな」
――――――悩み事は解消されましたか? 兄様?
「あぁ、解消されたよ」
風呂場で反響される俺の声。
知乃の声も反響してる様に聞こえた。
――――――兄様も悩めるお年頃なのですね、私はちょっぴり悲しさと嬉しさで変な気分です。
「毎回、お前の言葉で惑わされて毎度の毎度毎度、お前の言葉ですっきりする。
お前は悪魔で天使だよ」
――――――それはお褒めの言葉として受け取っておきますわ。
「マイペースで鈍感で頭でっかち…………でも、救われるよ」
――――――それは褒め言葉ですか? それとも罵声ですの?
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