十九話:Fake
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武装局員に任せ、すぐさま転移の準備を始める。
一刻も早くなのは達の元に行かなければ全てが終わってしまうと直感が告げる。
ロッテはそんなクロノの背中にある言葉を投げかける。
「気をつけなよ、クロスケ。生半可な覚悟じゃ―――“正義の味方”は止められないよ」
寒空の広がる病院の屋上。身も心も凍りつかすような冷たい風が吹き付ける。
そこで騎士達と魔法少女達は譲ることのできない激しい戦いを繰り広げていた。
「あなた達が闇の書の完成を目指す理由は……はやての病気を治すためなんですね」
「そうだ。それ以外に方法などないのだ!」
夜空に煌めく炎と閃光。シグナムとフェイトのぶつかり合いだ。
フェイトはその姿を普段よりもさらに装甲を薄くした形態『ソニックフォーム』で何者にも視認させることない高速軌道を行い。
シグナムは卓越した剣技でそれを迎え撃つ。
「どうしてこんな方法で…ッ。話し合えば他にも方法があったかもしれないのに!」
「他に方法などありはしない。何故なら闇の書そのものが主はやてを蝕んでいるからだ」
「え? はやてが……主?」
衝撃の事実に一瞬動きが止まってしまうフェイト。
そこに連結刃が襲い掛かってくるが間一髪で躱し体制を整える。
自分達は今の今まで切嗣が主であり、娘を救うために蒐集を行っているのだと思っていた。
しかし、真実としては、はやての代わりとして主のまねごとをしていただけだったのだ。
「私達家族は主はやてを助けるために全てを捨ててきた。今更―――止まれんッ!」
「いえ、私達が―――止めます!」
お互いに悲痛な想いを籠めて己の獲物をぶつけ合わせる。
そのすぐ横では同じようにヴィータとなのはが激しくぶつかり合っていた。
「もう少しではやてが元気になれるんだ! だから、邪魔すんじゃねーッ!」
「それは、本当なの!? 本当に完成したらはやてちゃんは助かるの!?」
燃え盛る業火の上空を砲撃と鉄球が飛び交う。
騎士の少女と魔導士の少女は涙ながらに叫び合う。
それは踏みとどまるのならばここが最後とどちらも知るが故に。
ヴィータは後戻りできぬ旅路へと踏み出す覚悟を。
なのはは彼女を必ず悲しみの連鎖から解き放つ覚悟を。
己の言葉に乗せあらん限りの声で叫ぶのだった。
「本当に…? や、闇の書が完成すればはやての病気は治んだよ!」
「じゃあ、どうして闇の書なんて言うの。本当の名前があるはずだよ」
「本当の……名前?」
その言葉にどこか引っかかるところがあったのか手を止めるヴィータ。
頭のどこかで、いつの日かの記憶で警鐘が鳴り響く。
―――思い出さなければならない。
―――思い出してはならない。
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