十九話:Fake
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クロノはブレイズキャノンを打ち終えた瞬間から相手に目もくれることなくもう一つの魔法の詠唱を行っていた。
『Struggle Bind』
「―――ツッ!?」
逃げようともがく敵の体を縛り上げるバインド。
これはただのバインドではない。
魔法による一時強化が施された対象や魔法生物に対して高い効果を持つバインド。
普段は副効果にリソースを振っている分、射程・発動速度・拘束力に劣るのだが、相手が変身魔法を使っており、尚且つ―――魔法生物であれば効果は抜群である。
変身魔法が解かれ、その素顔が明らかになる敵。
「できれば間違いであって欲しかったな―――ロッテ」
「……こんな魔法覚えてたなんて聞いてないよ、クロスケ」
「少しでも研鑽するように言ったのは君達だと記憶しているが?」
「あはは、こりゃ一本取られたね」
変身魔法が解け、見慣れた姿になる闇の書の主の偽物、ロッテ。
当たって欲しくなかった予想が当たり少し悲しそうな表情をするクロノ。
しかし、捕らえられたというにも関わらずケラケラと明るく振る舞うロッテに警戒を抱く。
ロッテの方もクロノのそんな様子に気づき話を続ける。
「それにしても、よく気づけたね。今まで少しも疑われてないのに」
「……あんたの攻撃は体が覚えこんでいるからね」
「あー。やっぱり、弟子相手じゃ変装も形無しかぁー」
まだ、起死回生の手を残してあるのかと注意深く窺っていたクロノであったがどうもそういうことではないらしいことに気づく。
益々、訳が分からなくなり少し苛立ち交じりに睨みつける。
だが、いつものようにロッテは飄々とした態度を崩さない。
「悪戯じゃすまないことぐらいは分かっているな?」
「……勿論ね。こっちだってそれ相応の覚悟は持っているよ。じゃなきゃ、全てを捨てるあいつに申し訳が立たない」
「……何が目的なんだ? 闇の書の主に加担してまで何がしたいんだ」
「―――闇の書の永久封印だよ」
強い覚悟の籠った瞳に思わず怯みそうになるクロノ。
だが、有益な情報を引き出せたこともあり、気を取り直しさらに尋ねようとする。
しかし、そこで相手が余りにも簡単に口を割っていることに違和感を覚える。
同時に自分が相手の策に嵌ってしまったことを悟り、舌打ちをする。
相手の目的は足止めであると看破していたはずだ。
それにもかかわらず情報に目がくらみ長居してしまった。
ロッテの目的は少しでも長く自分をここに引き留めること。
そのためにわざと情報を提供していただけに過ぎないのだ。
「気づいた? 残念だけど今回はあたし達の勝ちだよ」
それを聞いた瞬間にクロノはロッテを
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