十九話:Fake
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督は後悔していた。第一、エミヤかどうかは確証されていない)
嫌な予感に首を振って切り替えようとするが、忘れるに忘れられないあの猫姉妹の片割れの戦い方が頭から離れない。
毎日毎日、体で覚えこむまで叩きのめされたのだ。
何よりも自分は彼女の弟子なのだ。
他の誰が間違えようとも自分だけは間違えるはずがない。
(……エイミィ、ロッテに救援に来れないか通信してみてくれないか)
(え? そっか、ロッテはフィジカルのエキスパートだもんね。ちょっと待ってて、すぐに連絡を取ってみる)
エイミィに伏せたまま確証を取るための行動を行う。
その間に煙も晴れ敵が再び襲い掛かってくる。
嵐のようなラッシュをしのぎながらクロノは念話を送ってみせる。
(ロッテ!)
「………っ」
鋭い者でなければ分からないほど微細ではあるが声をかけられた瞬間に攻撃の手が緩む主。
今の念話はあらかじめ特定の人間を指定して送ったいわばプライベートラインの様なものだ。
つまり、別人であれば聞こえるはずなどない念話なのだ。
(クロノ君、ごめん。連絡をしたけどつながらなかったよ)
(……いや、大丈夫だ)
お互いに一度距離を取り呼吸を整える。
当たって欲しくない考えだが、当たらなければ自分の不利は確定的だ。
世の中は本当にままならないものだと顔をしかめながら言葉を続ける。
(勝利への道筋は―――見えた)
言葉とは裏腹に重い声でクロノはエイミィに伝える。
それと同時にS2Uを構え砲撃の構えを見せる。
『Blaze Cannon』
大量の熱量による大威力の魔法。しかも、発射速度はディバインバスターよりも早い。
巨大な青白い砲撃を放つ直前にクロノは設置型のバインドの詠唱を整えておく。
敵は放たれる砲撃を気にすることなく真っすぐに突き進み、直前で躱してみせる。
そして、側面から鋭い蹴りを放とうとする。
『Delayed Bind』
「―――フッ」
そこに仕掛けられていたバインドが発動するがこの程度の罠を看破できない敵ではない。
身を翻してクロノの頭上に移動しそこから脳天をかち割る一撃をお見舞いする。
だが、クロノもここまでは想定内である。
『Delayed Bind』
「もう一つ!?」
もう、罠はないだろうと相手を安心させたところで二段構えの罠を発動させる。
近接戦では分が悪いクロノではあったが読み合いでは引けを取ることなどない。
しかし、敵もさるもの。動物的な反射で無理やり体を動かしてバインドの範囲外へと逃げる。
だが、クロノの策はここまでも予想していたのだった。
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