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大切な一つのもの
20部分:第二十章
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ばかりです。兵士には何が何だかわかりません。
「貴方はアドリアーノにそのまま教会にいるようにお伝え下さい」
「それだけですか?」
「そう、それだけです」
 やはり落ち着いた声で述べます。
「それだけなのです。では」
 騎士は曇りの消えた笑顔を見せるとそのまま踵を返しました。そうしてそのまま市街の方へ行ったのです。民衆がいる市街へ。

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