第十幕その三
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「先生なら観てくれるだけで診察してくれるし」
「それならね」
「是非診察をして」
「今からお願いするよ」
「うん、それじゃあね」
先生はです、早速でした。
ご夫婦を診察しました、そのうえでお二人に笑顔で言いました。
「夫婦共に健康だよ」
「それは何よりね」
「じゃあ大丈夫だね」
「うん、何の心配もいらないよ」
また笑顔で言った先生でした。
「そのままいてもね」
「ええ、じゃあね」
「これからも夫婦で楽しく過ごさせてもらうね」
「そうしてくれると有り難いよ、それでだけれど」
ここで、でした。先生はです。
アンコウさんのご夫婦です、こう言ったのでした。
「一つお願いがあるんだけれど」
「お願い?」
「お願いっていうと」
「実は君達以外の深海生物の診察もするんだけれど」
それでもというのです。
「実は僕は全部の深海生物の言葉を知らないんだ」
「あら、そうなの」
「先生も知らないことがあるんだね」
「そうだよ、僕のいや人間の知識なんて僅かだよ」
それこそというのです。
「皆に言ってるけれど大海の中のスプーン一杯だよ」
「先生みたいに博識な人いないのに」
「それでもなんだ」
「知らないことがあって」
「深海生物の言葉はなんだ」
「全部知らないんだ」
またご夫婦に言うのでした。
「特にダイオウグソクムシ君のはね」
「あの何年も何も食べていない」
「彼の言葉をだね」
「彼の言葉を知ってるかな」
あらためて尋ねた先生でした。
「君達は」
「僕が知ってるよ」
ご主人が先生に答えました。
「それで他の深海生物の皆の言葉もね」
「あっ、そうなんだ」
「うちの人は博識なのよ」
奥さんはにこりと笑って先生にご主人の自慢の言葉を言いました。
「深海の生きものの言葉ならね」
「全部知ってるんだ」
「この水族館にいる皆の言葉なら」
それこそというのです。
「全部知ってるよ」
「それじゃあ教えてくれるかな」
「お安い御用だよ、それじゃあね」
ご主人は先生に深海生物達の言葉を教えてあげました、先生はその言葉を英語の発音で書いてでした。
覚えてです、ご主人に言いました。
「有り難う、それじゃあね」
「他の皆の診察もするんだね」
「そうさせてもらうよ」
「それじゃあね」
こうしてでした、先生は深海生物の言葉も知ったのでした。そのうえで他の深海生物のコーナーに向かうのですが。
動物の皆はです、こう先生に言いました。
「これでね」
「先生はまた知識を得たんだね」
「深海生物の言葉」
「それをなのね」
「うん、よかったよ」
先生も笑顔で皆に応えます。
「これでグソクムシ君とも話が出来るよ」
「グソクムシっていうから」
ガブガブ
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