第1部 異世界へ
4.戦場へ
鶴の舞う空へ
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ー初めて戦場に出たあの日、俺は運命が少しずつ動き始めたのを感じたんだ...。ー
4.戦場へ
武器庫を出ると、風早は思い出したように言った。
「海斗は私の隊に入ってもらうのですが、ほかの兵たちになんと言いましょうか...。五人将と鶴姫様はまだしも、ほかの兵に君の素性を明かしたところで信じはしないでしょうし...。」
「確かに....。...ところで、五人将ってさっきから言っていましたけど、それってなんですか?」
「ああ、君にはきちんと説明しねくてはなりませんでしたね。五人将というのは、それぞれ隊を率いて戦う戦奉行を我々の国では五人将と言うんです。まあ、先の戦で一人討ち死にしてしまい、四人しか今はいないのですがね...。」
「そうなんですか。」
「ええ。鶴姫様は身分や家で人を計るのは嫌うので、実力のみでつくられているんですよ。」
「へえ、近代的ですね...。」
「そうですね。そのような考えを持つ方は今までにいなかったでしょう。そんなこともあってでしょうか、鶴姫様の元へ多くの兵が集まったのは。」
風早はそう言うと、少し下を向いて微笑んだ。それから、ふと思いついた顔で海斗のほうを向いた。
「こうしましょう。あなたは武家の出です。しかし、頭を打って自分の名前以外は覚えていません。いいですね?」
「なるほど、わかりました。」
「では、こちらです。この屋敷や屋敷の周りのでは御家人も多く住んでいます。鶴姫は国中から人を集めていますからね。」
再び長い廊下を東の方へ歩く。風早の話だと、西側は五人将と呼ばれる人々や鶴姫の住居、座敷となっており、東側は鶴姫によって集められた兵たちの居住区となっているらしい(もちろん大部屋)。ちなみに、屋敷の外には城や城下町を追われた兵たちや、遠方から集まった兵が住んでいるそうだ。東側の一室の引き戸を風早が開けると、中には4人の男がいた。
「これはこれは風早様。」
「やあ、邪魔して悪いね。今日からこの部屋に入る梶原海斗だ。」
「よろしくお願いします。」
「では海斗。私はこれで。戦が近いので剣の手入れをしっかりとしておくように。」
風早はそう言い残すと、去っていた。部屋の男たちは気のいい連中だった。
「おめえ、どっから来たんだ?」
「実はここへ来る途中に夜盗に襲われて頭を打ってしまい、自分の名前しか覚えてないんです。」
「はー...そうだったのか。世の中には不思議なことがあるんだな。にしても、おめえさんも大変だったんだなあ。」
ここにいる連中は皆鶴姫に連れてこられたらしい。低い身分のものから、腕の立つ農民まで様々な人間がいた。海斗は男たちと話しながら、部屋の中を見回した。部屋や先ほど見た建物の外観からして、ここは平安時代の様にも見えたが、言葉遣い、思想は平安時代よりよっぽど近代的だし、第一、戦をしてい
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