月下に咲く薔薇 19.
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な信頼を置くように、SMSの人間は元々人間の中から迸る歌の力を信じている。それは史実が残した成功の記憶に根ざしたものというより、新天地を求め旅を続ける開拓者達の信仰に近かった。
確か、チバソングという単位で測る事のできる歌エネルギーを、ジェフリーやミシェル達のいた地球文明は敵変革の一手として使用していたのではないか。先日、ガリア基地でのゼントラーディ兵士反乱騒動にランカを連れ愛機でアルトの応援に駆けつけたのは、他ならぬミシェル本人だ。
サウンド・ブースターなる装置が歌の何を増幅し知的生命体の変革を促すかは、理屈と実体験の両方でミシェルを納得させている。それがもたらす表情の軟化ならば、歌の可能性は信じるに足るという事だ。
突然変わった空気に戸惑い、「歌といっても、誰の?」と大塚が具体的な名を求める。
応じたのは、何とエウレカだった。
「ランカちゃんの」
直後にレントンが「そうだよ!」と喜色で手を叩く。「ゼントラーディの反乱を鎮めたランカさんの歌! あの歌なら、きっと思いが伝わるよ!」
「ランカ嬢か」
突発的なアイディアなれど高く評価したのか、ジェフリーの眼光には乗り気な輝きが更に満ちた。
「しかしあの反乱の場合、ゼントラーディという戦闘種族と歌の組み合わせに勝因があったのでは?」大塚がこの多元世界にある地球人代表として、マクロス船団の関係者に説明を求める。「私も彼女の勇気と才能は認めるが、敵は何しろ、サイコフレームを介する事でようやくコミュニケーションを成立させられる相手。花に歌って聞かせる事で、どうやって話を有利に進めれば良いものか。生憎、私には皆目見当もつきません」
ジェフリーは、ミシェルをちらりと見てから力強く新たな提案に踏み切った。
「それでは、サイコフレームと歌の併用で、再度感応接触を試みてみましょう。交渉はよりスムーズに進むかもしれません。ニュータイプの力をサイコフレームが増幅するように、サウンド・ブースターは歌の力を増幅します。ミシェルが言う通り、ガリア基地の鎮圧時に使用したものがクォーターに保管してありますから、最も急ぐべきは超時空シンデレラとのスケジュール調整ですかな」
「おおっ」喜色の大塚が、「ならば、その手配は私が」とランカの招待を約束した。
ミシェルの表情は柔らかくなり、エウレカに礼を告げる程周囲への気配りも蘇ってくる。
クロウ達からレントン達、そしてミシェルへとジェフリーが視線を横に流す。
「これで、クロウに依頼しようとした謎の声の主に応える事ができる。強行派の鎮圧は、その女性が我々ZEXISに求めているものだ。応じる事を伝えるだけでも最初の変化は訪れるかもしれない。歌とニュータイプの力は、ZEXISとZEUTHが信じる特異な力の結晶だ。必ずや異界への扉が開くものと私は信じている。ランカ
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