月下に咲く薔薇 19.
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万策尽きた最後の手段にするべきだ」
「要は、勝算があるという事か?」
尋ねるゼロに、アムロが「ああ」と首肯した。「それなりに高く見積もっている」
自信から生まれている力強い表情に、ゼロとロジャーが即時の反論を避けた。彼等なりに代案を推進すべき理由が生まれたと見える。
「俺も、再挑戦には賛成だ」ミシェルを思い、クロウは敢えてアムロの側についた。「昨夜のあの感触なら上手くゆくんじゃないか。いきなり力任せにドアをぶっ壊すより、よっぽど向こうでやりやすくなるだろ。何しろ、敵の中に俺達の理解者がいるんだからな」
一瞬、スメラギの眼光がいつになく鋭くなった。
「クロウ。さっきの話でも気になったのだけれど、随分と好意的ね」
「敵に対し」という表現を直前で飲み込んだスメラギに、クロウは「まぁな」と肯定を示す。「きっと、久し振りに笑ったんだろう。蛇足みたいなもんだったが、結果として最後の最後に初めて何かが通じたって感触を掴んだ。きっと、向こうもそう思ってる」
「わかるぜ。俺も、再接触はやるべきって方だ」
同意するロックオンに、「そう、貴方まで」と同じソレスタルビーイングの人間としてスメラギが眉をひそめた。
「それに。困った女の子との交渉なんて、ミシェル、如何にもお前向きじゃないか」
隻眼のスナイパーが、最も反対するであろうスナイパー仲間を敢えて代案に取り込もうとする。
昨夜、ロックオンもまたサイコフレームが作り出す無境界領域の中にいた。クロウと異物の会話の仲立ち役として思いを届けようとしただけに、遠近の区別はあれど何かを感じ取っているのかもしれない。
「俺が…?」いきなりの交渉役を振られ、高校生戦士が拒絶しきれず混乱する。「敵同士なのにどうやっ…」
矢庭に、少年の両目が見開かれた。眼鏡の奥で、遂には完全な円を描く。
「歌だ!!」
座ったまま気色ばむスナイパーの声は、明るく弾んでいた。
陰鬱な様子でアイムと手を組む事まで覚悟していたミシェルが、一転表情を輝かせジェフリーとカナリアを見比べる。
「この前俺が使ったサウンド・ブースターは、今でもクォーターの中! ここは文化の花咲く地球だから、歌姫の協力も得やすい! お誂え向きじゃないですか!」
「なるほど、その手は使えそうだ」ジェフリーが髭の下で不敵に笑い、部下の発想を評価した。歌の力を信じる世界からやって来た者同士だけに、発想が伝わると膨らむのは早い。「アムロ君、我々SMSは君の提案に賛成しよう。君が信じるその勝算を更に上げる方法を用意できるのだが、歌の力をご所望かな?」
「歌、ですか?」
半信半疑のアムロに対し、ジェフリーは「そうだ。歌だ」と断言する。
漲る自信に因るものか、ジェフリーの体躯は誰からもいつになく大きく映った。
ZEUTHがニュータイプの力に絶大
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