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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 19.
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「私も、ゼロの案に賛成する」相応のリスクを覚悟しつつ、ZEUTHのロジャーが後押しした。「アイムという男は、確かに危険極まりない存在だ。共闘を目的とする話し合いなど奴との間では大した意味を持たないだろうし、戦闘中、我々に対し何かを仕掛けるとの確信もある」
「それがわかっているなら、何故!?」
 押し殺した憤りが、ロックオンの口調から滲み出る。
「時間だよ。ゼロが指摘する通り」
 クロウの隣で、ガンダムマイスターが絶句した。
 彼自身も覚えているのだ。就寝前、2人の間で交わしたやりとりの全てを。
 あの時、クロウからも時間の話をロックオンに振った。答えず彼が無視を決めつけたのは、無下にできない事を不承不詳受け入れたからでもある。
「怪植物やアイムの言う『残された者共』との戦いによって生じるリスクは、我々救助する側だけで背負うべきだ。悪戯に時間をかけ、彼女達に背負わせるべきではない。勿論、一般人が被る被害など論外だ。敵との戦闘も想定しなければならないが、最大の障害は異界に突入する為の方法が我々に無い事。それに尽きる」
 その時、アムロの手がすっと上がった。
「異界への突入に備え、僕からも提案したいんだが。もう一度、昨夜の相手に感応接触を試みるというのはどうだろう? 試してみる価値はある筈だ」
「何の為に?」と、ゼロが声で詰め寄る。
「異界への入り口を彼女達自身に開けさせる為にさ」
 直後、万丈が軽息を立てた。口笛に近い音がし、賛成票が投じられた事を、皆が悟る。
 一方で、「驚きましたね」と失望混じりにミシェルが代案を一蹴した。「そういう話を通せる相手なら、そもそも力を行使して人を連れ去ったりはしないでしょう」
「だが、敵は一枚岩ではないようだし、僕達の工夫次第で異界に行く方法が得られるなら、わざわざアイムと組む必要はない」パイロットのアムロは、貫禄のある話し方ではなく親しみを覚える話術で説得にあたった。「僕達から持ちかけた共闘を利用し、アイムは必ずZEXISかZEUTHの誰かをターゲットにして心を壊しにかかるぞ。ミシェル。もし君まで片目を失ったら、クランの心は誰が守るんだ」
 隻眼のロックオンが、息を飲むミシェルを人越しに見つめる。
 アムロが指摘する通り、アイムならば共闘中であろうと虚を突いて本命の敵を追い詰めにかかるだろう。昨夜のティエリアなど、正に好例だ。
 流石に言葉を失い、ミシェルが沈黙した。
 静かな議場で、アムロの声だけが通る。
「時間の問題が深刻な事は、僕も十分に理解している。大きなリスクを避けようとして優先すべきものを見失ってしまうのでは意味がない。それも承知の上だ。僕の提案は、昨夜得た僕自身の感触が根拠になっている。できればもう少し大掛かりな方法で、もう一度彼女と接触してみたい。…アイムとの共闘は、
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