第六十六話
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「いやいや、どう考えても彼らに見つからないように公園に入れないよ。あんな何の遮蔽物もない、しかも大して広くも無いところだ。仮に見つからずに入ったとしても両方の入り口から事件現場は丸見えなんだから絶対に見つかるよ。こりゃ現場検証とはいかないなあ」
「……馬鹿馬鹿しい。そんなことで何故頭を悩ます? 馬鹿は必要以上に考えないほうがいいわよ。すべて私に任せればいいわ」
そういうと、ツカツカト彼女は歩き出した。
「お。おい……」
止める暇も無く、一直線に公園の入り口へと歩いて行く王女。
俺は慌てて後を追う。
真夜中の公園。横を走る道路に通行車両は全く無い。最終のモノレールもだいぶ前に出発している。当然だけど辺りは、しんと静まり返っている。歩く音が高架に響く。それはかなりの音に聞こえてしまう。
すぐに足音に気づいた警官がこちらをみた。
こんな夜中に、殺人現場となった場所に女の子がいるはずがないという先入観で警官は一瞬、目を疑ったようだ。夢か何かと思ったのか右腕で両目をごしごしと擦り、もう一度こちらを見、やっとこれが現実だと気づいたようだ。
俺の存在も見つかった。
「こらお前ら、こんな時間に何をやってるんだ! 」
我に返った警官が駆け寄り、王女を見下ろす。30歳半ばぐらいの制服の上からもがっしりとした体格だと分かる男だった。背丈でいってもおれより10センチくらい高い。
「別に。……これから事件のあった公園を見たいんだけど、だめ? 」
何事も無かったように王女が言う。
意味が分からなかったのか、警官はポカンとした顔をしたと思うと、王女の異常な言動を聞き、怒鳴りだした。
「こんな時間にチビが何をやっているんだ? 今何時だと思っている? 子供がこんな時間にうろつくなんてどういうことだ」
そして俺に気づき俺をにらみ付ける。
俺を見、王女を見て腕組みして遠くを見つめる。そして再び二人を見、どうやら結論に達した模様。
「ん? お前はこの子とどういう関係だ? こんな時間に小さい女の子を連れまわしてるのか? ……どうみても兄妹には見えないな。は! ……さては!! 」
男はすばやく動くと、俺の右腕を両手で掴んだ。
「え? 」
驚く間もなく右腕はねじられて後ろに回される。
たぶん痛いんだろうな。
……普通の人間なら。
「佐藤!! 来てくれ」
警官は叫ぶ。
公園の反対側に立ってたもう一人の警官は、こちらの男の声で俺たちが現れたことには気づいてはいたみたい。成り行きを見ていた積極的にかかわるつもりはなかったようだけど、呼ばれたことで慌てたように駆けてくる。
「どうしました? 田中さん」
もう一人の男、佐藤と呼ばれた警官はまだ20代前半に見える、その割りにちょっと小太
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