Fate/stay night
1155話
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……うん? 今、凛は何て言った?
何だか俺の耳が悪くなったような気がしたんだが。気のせいか?
「遠坂、今何て言ったんだ? あたしの耳が悪くなってないなら、桜が遠坂の妹だって聞こえたんだけど」
綾子も俺と同様の疑問を抱いたのだろう。不思議そうな表情を浮かべて凛へと尋ねる。
だが凛は表情を全く変えず、紅茶を飲んでから再び口を開く。
「なら綾子の耳は正常よ。桜は私の血の繋がった妹だって言ったんだから」
「いや、だって……ちょっと待ってくれ。けど……」
納得出来ないといった様子で、何かを口にしようとする綾子だったが、結局それは言葉にならずに消えていく。
そんな綾子の様子を見ていた凛は、小さく笑みを浮かべてから口を開く。
「間桐は魔術師として既に限界だったって話はしたでしょう? それをどうにかする為に、まだ魔術師としては十分に優秀な遠坂の血を引き入れたいと思った訳。それで、遠坂家の前当主だったお父様は桜を間桐に養子に出したのよ。……まぁ、お父様にしても、まさか桜がこんな事になるとは思ってなかったと思うけど」
ふと、その言葉を聞いた時に本当か? と思ってしまった俺は、魔術師という存在の知識を聖杯から受け取っているからなんだろうな。
基本的に魔術師という存在は、人でなしというか、人間的に見れば外道な性格をしている者が多い。
自分の研究の為には、人を殺しても何とも思わない者とかな。
そういう中で、凛のように人間的な優しさを持ちながらも魔術師として非常に高い能力を持っているというのは、非常に希有な例だろう。
……衛宮クラスとなると、希有とかそういう問題じゃなくて既に魔術師じゃないような気がするけど。
そういう理由を考えると、凛が妹の心臓に寄生しているという臓硯とかいう相手を何とかしたいと思ってもおかしくはないだろう。
「となると、最終的には衛宮達に協力する事になりそうだな」
俺の口から漏れ出た言葉に、綾子は呆然と凛を見ていた状態から我に返る。
「ほ、本当か、アーク! 本当に桜を助けてくれるのか?」
「ああ。マスターである凛もそれを望んでいるし、綾子の可愛い後輩なんだろ? 若干思うところはあるけど、それでもここで手伝わないって選択肢はないさ。それに、凛の妹だっていうのなら、会ってみたいし」
「……アークエネミー、あんた桜に会った事があるわよ」
ポツリ、と呟かれた凛の言葉に、首を傾げる。
それらしき人物に会った事があったか? そう思い、記憶を遡ってみるが、どこにも凛に似ている女と会った覚えはない。
そんな俺の様子を見て、凛は溜息を吐いてから口を開く。
「ほら、アークエネミーがこの世界に来てからすぐ、冬木の土地を案内した時があったでしょ?」
「ああ、あったな
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