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ポケットモンスター 急がば回れ
16 グリーン対シルバー 2
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グリーン「そんなバカな……」

ラッタは地割れの底に消えていく。
グリーンはただ見ていることしかできなかった。

シルバー「弱い奴なんていなくなればいいんだ。
お前もさっさと消えろ。
それとももっと弱いポケモンを出すか?」

グリーンは戦意を喪失している。
初めての敗北がこんなにも圧倒的な力でねじ伏せられるとは予想もしていなかった。

シルバー「なんだ、もう終わりか?
お前、ポケモントレーナーだったよな。
ポケモンを持ってないトレーナーに用は無い」

そう言い残してシルバーは去っていった。
グリーンはいつまでも地割れの底を見つめている。
真っ暗で何も見えない。
小径ほどの幅で断崖絶壁が向かい合っている。

ヒカル「これ、誰が直すんだろう」

やがて日が暮れる。
ヒカルはグリーンにトレーナーハウスに泊まっていくよう勧める。
しかしグリーンはそこから動かない。

グリーン「…………」

トレーナーハウスからポケモンが出てくる。
グリーンの前に来て表情を伺う。
いったんテレポートで、ふっと姿を消して、またすぐに現れた。
ラッタの亡骸も一緒だった。

ヒカル「そいつはケーシィ。
この辺をふらふらしてるところを保護したんだ。
でも相変わらず徘徊する癖があってね、いつの間にかいなくなっていつの間にか帰ってくる気まぐれな奴さ」

次の日。
グリーンは旅支度を整える。
その前にラッタの件で一言あってケーシィをたずねる。
しかしゲージは空っぽだった。

ヒカル「また散歩じゃないかな」

グリーン「そうか、世話になったな」

去り際にゲージの看板を一瞥する。

名前…ケーシィ♂
親……レッド
メモ…気まぐれな性格
   24番道路で出会ったようだ

ヒカル「ポケモンのデータはポケモンセンターでわかるけど、レッドってトレーナーはどんな奴なんだか……」

覚えている技もメモしてある。
これも気まぐれで習得したのか、とグリーンは思った。

ヒカル「これからどこへ行くの?」

グリーン「シオンタウンだ。こいつを弔ってやらないと」

グリーンは背負っている大きめのリュックを示す。
ラッタはもうモンスターボールに入れることができない。

グリーン「いつかリベンジしに来るから覚えとけってあのヤローに言っといてくれ」

ヒカル「わかったよ。それじゃ……」

シルバー「俺に何か言ったか?」

グリーン「シルバー……!」

シルバー「まさか、また俺とやろうってんじゃないだろうな。
手持ちがそんなザマで、よく言うぜ」

グリーン「今すぐじゃねーよ」

突如、地面が横に大きく揺れる。
地震かと思ったがそうではない。
ポケモンの地震技でもない。
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