十八話:開演の時
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よりも知っているはずだ。
いや、奇跡が起こる芽を全て摘んできた。
生かしておけばより多くの人を殺すだろうと判断した人間を殺してきた。
しかし、それは本当に正しかったのか?
彼等は本当にその後に及んで人を殺したのだろうか?
改心して今度はより多くの人間を救う本物の『正義の味方』になったのではないか?
彼の思考はどこまでも悲観的だ。未来が今よりも良くなるなどとは欠片も考えはしない。
悲劇が起こるかもしれないという仮定で正義を行う。
生きていれば無限の可能性があるというのに平然と決めつける。
誰にもわからない、とてつもなく巨大な希望を壊し続ける。
それは、本当は酷く独善的で、偽善的で、自己満足の押し付けなのではないか?
大の為に小を切り捨てる。その一見、厳しくも当然に見える判断は間違えではないのか?
切り捨てた小がその大を救う可能性を持っていなかったのか?
小の中には未来においてより多くの大を救う術を持つ者がいたのではないか?
この悩みと苦しみは一生彼を解き放つことはないだろう。
否、例え死んだとしても彼を骨の髄まで蝕み続けるだろう。
だが、しかし、今この時だけは彼は迷いを振り切って歩いている。
他ならぬ―――愛する娘に背中を押されたのだから。
「……はい。はやてちゃんが元気なれるように精一杯応援します」
「大丈夫ですよ、きっと、良くなりますよ」
「まずは、プレゼントではやてちゃんを元気づけます」
「うん……そうだね」
四人の少女達は彼とは違いどこまでも希望を信じている。
そのことに思わず眩さを感じ、目をこする切嗣。
それを泣いているのだと解釈した魔法少女二人の元にアースラのエイミィからある一報が届く。
(二人共、大変だよ! 見つかったんだよ―――闇の書の主が!)
アースラ内部では巨大なスクリーンの前にクロノ、リンディ、エイミィが揃って立ち上がって映し出されている者を見ていた。
一面が炎と荒野の世界に浅黒い肌に白い髪の毛の男が立っていた。
それは身体的特徴から見れば間違いなく闇の書の主だ。
今度こそ、万全の状態で見つかったと立ち上がってガッツポーズをするエイミィの隣でクロノは難しそうな顔をする。
「やったね、クロノ君! すぐになのはちゃんとフェイトちゃんとクロノ君で協力して捕まえようよ!」
「……いや、ダメだ」
「へ? なんで、今はヴォルケンリッターの姿もないのに―――」
「それだ。それがおかしいんだ」
不自然さを指摘するクロノの横でリンディもまた同意見なのか頷く。
どういうことかと不思議がるエイミィと念話でつながっているなのはとフェイトにクロノは頭の中を整理
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