十八話:開演の時
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ぐらいは……)
すずかと切嗣が話をしているその横で二人は念話を用いて相談を行う。
もしや、闇の書の主かという疑念も少しばかり出てくるが確証ないためにもやもやとした気分になる。
「みんなも大丈夫だよね?」
「もちろんよ」
「へ? う、うん。大丈夫」
「わ、私も」
そんな考え事をしていた為に若干、挙動不審になるものの友人二人は首を傾げるだけである。
そのことにホッとしつつ歩き出した切嗣の背についていく。
どことなくその背中に印象が残る二人だったが他に考えるべきことがあるのですぐに忘れてしまう。休憩室につくと切嗣は煙草を取り出そうとして途中で苦笑する。
「しまったな。レディの前でタバコはダメだってはやてに言われてたんだった」
「ふふふ、はやてちゃんらしいですね」
(どうする、フェイトちゃん。念話で話しかけてみようか?)
(驚くかどうかで見極めるんだね。いいんじゃないかな)
無言で作戦を練る二人に事情が全く分からないアリサは緊張しているのかと不思議に思うばかりである。
しかし、二人は自分達が奇怪なものを見るような視線を向けられているとは夢にも思わない。
完璧だと自負する作戦をいざ実行せんと念話で話しかけようとしたところで。
「……はやての病状についてなんだけど、君達にも知る権利があると思うんだ」
切嗣が話を切り出したことで見事に頓挫してしまう。
明らかに真剣な話が始まろうとする中では純粋な少女二人は話を遮るような真似はできない。
尤も、切嗣としては意図してのタイミングではないが結果的にベストのタイミングになったのは嬉しい誤算である。
「はやての脚は原因不明の麻痺に侵されている。明確な治療法は見つかっていない状況だ」
「そんな……何とかならないんですか?」
「石田先生にこの病院の先生も全力を尽くしてくれているんだけど……ダメなんだ」
新しい友人の深刻な状況を知らされて思わず立ち上がるアリサ。
しかし、切嗣は悲し気に首を横に振るだけである。
この時ばかりは切嗣のねらい通りになのはとフェイトも闇の書の主のことは頭から消え失せていた。
「そして、今は麻痺が足から少しずつ上に上がっている。このままだと……」
―――もう先は長くない。
その言葉を言われずとも聡い少女達は悟ってしまう。
自分達の大切な友達が遠い何処へと行ってしまうのだと。
「……でも、いい方向に向かう可能性だってあるんだ。諦めなければ必ず奇跡は起こる。だから、君達は今まで通りにはやてを元気づけてやってほしい」
言うと同時に切嗣は深々と頭を下げる。
―――どの口が言っているのだろうかと皮肉気に唇の端がつり上がるのを隠すために。
奇跡が起こらないことは自分が誰
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