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逆さの砂時計
対峙
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 ならば当然

「後ろ、でしょうね」

 前転の要領で体の上下を反転、翼を閉じて急降下。
 頭から地面へ落ちていく中、空を蹴飛ばす靴先にレゾネクトが見えた。
 空振りする彼の腕を確認して翼を広げ、一気に上昇する。

「『広がれ、拡げよ。我が声、我が意思。我らの糸をここに繋げよ!』」

 『言霊』を紡ぎながらレゾネクトに突進して。
 その腹部があった場所を薙ぐ。

 うん。
 当たるほうがおかしいんだと思っておこう。
 彼は幻影。彼は幻影。

「……マリアと合流したわりに、お前達は気配を消す以外の、特別な対策をしていないのか。本気で戦うつもりがないなら、何故俺を招き寄せた?」
「必要ないからですよ。貴方には今ここで退場していただく! 『風よ」

 翼で空気を叩いて数歩分後ろへ退き、剣を掲げ

喧騒(けんそう)

「    」

 …………は?

 え、なに?
 声が、出ない?
 集まり始めていた風が、音も無く散っていく。

「!」

 そうか、これか。
 マリアさんの仲間コーネリアさんが、急に喉を押さえて崩れ落ちた理由。
 レゾネクトは今、魔王の特性である『謎の力』を使った。
 最悪なことに、私にもしっかり効いている。

「冷静だな」

 刹那の戸惑いを衝くように伸びた腕を紙一重でかわし、剣を構え直す。
 意外そうに誉められても嬉しくはない。
 呼吸は……できているな。
 声は、

「おかげさまで」

 ちゃんと出る。
 一瞬だけ作用したのか?

「元人間が、よく使えている。良い声だ」
「ええ……良き師範と良き教師の指導で、三日三晩、発声練習と音階矯正(きょうせい)、腹筋と背筋の強化に努めていましたから。数少ない長所が一つ増えました。人前で自慢しようとは思いませんが」
「勿体ないな。俺ならもっと自由に歌わせてやれるのに」
「この一件が片付いたら固く封印するつもりなので、謹んでお断りします」
「それは残念」

 愉しそうに笑いながら残念と言われても。

「で? 特別な対策はなく、お前の『言霊』が効かないことも実証した。『扉』のマリアは戦力にならないだろうし、ベゼドラは今別の大陸に居る。お前一人でこれからどうする?」

 ふむ。
 どうするかと尋かれると、実は少し困っていたりする。
 初撃を受けてすぐに嫌な予感はしたのだが。

 多分、アリアは来ない。
 私が助けられた時の状況を再現できれば良かったんだけど。
 そう上手くはいかないらしい。
 が。

「ご存知の通り、私は元々非力な人間なので。『言霊』が使えないのなら、使えないなりにお相手願うだけです」

 想定外のことでいちいち足を止めていては、戦いなど乗り
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