3部分:第三章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
「そうそう、何だったかな」
「井伏だったか?」
ある作家の名前が出て来た。使用人達の間でだ。
「井伏鱒二だったよな」
「あの山椒魚ってのは面白いな」
「結構な」
「若旦那も小説読まれますか?」
「旦那様あれで結構読まれるんですよ」
そのうえで彼に話を振ってきた。
「芥川なんか特に好きですし」
「白樺派もよく読まれますし」
「そうですね。僕は」
実は彼も読まない訳ではない。するとであった。彼もこう話すのだった。
「川端康成がいいでしょうか」
「川端ですか」
「そっちですか」
「はい、いいと思います」
また話すのだった。
「あと白樺派ですと武者小路が好きですね」
「ああ、若旦那も結構読まれるんですね」
「小説お好きなんですね」
「小説はいいものですね」
彼は微笑んでこうも話した。
「他には小林秀雄も読みますが」
「あの評論家ですか」
「あの評論はかなり難しいですが」
「それでも読まれますか」
「はい、小林秀雄は確かに難しいです」
何故難しいかというとそれは別に主張や書いてある内容がわかりにくいからではない。それとは話が違うのだ。実は小林秀雄の主張は難しくはないのだ。
問題は何かというとである。教養が必要なのだ。
小林秀雄の作品を読むには事前に相当な教養が必要なのだ。それがないと彼の文章や主張は何を言っているのかわからないのだ。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ