Fate/stay night
1153話
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イリヤを庇うようにして前に出ている。
片方のメイドはどこから取り出したのか、ハルバードを手に構えてすらいた。
そんな、一気に緊張状態になった奴等を目にしながらも、俺は全く慌てた様子もなく口を開く。
「落ち着け。別にお前達を攻撃しようって訳じゃない。このスライムを使ってその蟲をどうにか出来るかもしれないと言ってるんだ」
まぁ、セイバー達はグリフィンドラゴンを相手にしながらでもバーサーカーが何度となく死んだ光景は見ていたんだろうから、スライムを警戒してもしょうがないか。
「衛宮、その紅茶のカップはもう空か? それをテーブルの、俺から少し離れた場所に置け」
「カップを? ああ、分かった。空だし問題ない。……これでいいのか?」
俺から離れたテーブルの上に、紅茶の入っていたカップを置く衛宮。
そうして、俺の横でユラユラと動いているスライムに視線が集まっているのを見ながら、俺はスライムを動かす。
ただし、このままではない。糸よりも更に、更に、更に、更に細く。
それこそ、0.00001mm程度の細さへと姿を変え、次の瞬間。
斬っ、と。
その細さ故に音もなく振るわれたスライムの一撃は、俺から離れた場所にあった紅茶のカップを見事に真横に切断する。
紅茶のカップを砕いたり、割ったりするのではなく、鋭利な斬れ味を残しての切断。
僅かに角度を付けられて切断された紅茶のカップは、そのまま徐々にずれていき……やがてテーブルの上に転がり落ちる。
軽い金属音を立てながらテーブルの上に落ち、そのまま割れるカップ。
その場にいる者達が呆然とその様子を見ている中、俺は口を開く。
「見ての通り……と言っても、見えている奴の方が少ないか。セイバーにライダー辺りなら、何が起きたのか理解出来たんじゃないのか?」
普通の人間であれば何が起きたのかは全く理解出来なかっただろうが、サーヴァントという存在であれば見えても不思議じゃない。
いや、この程度の攻撃を見抜く事が出来ないのであれば、それはサーヴァントというには少し弱すぎるだろう。
「そのスライムから伸びている触手が、非常に細くなって放たれた、ですか」
「ええ、私もセイバーと同じ意見です」
そんな俺の予想通り、やはりサーヴァントにとって今の攻撃は見抜く事が出来たらしい。
もっとも、偵察とかならともかく、これは実は戦闘ではそう簡単には使えない。
ぶっちゃけ、糸が細すぎて威力的にサーヴァントの防御力を突破出来ないのだ。
それでも、人の心臓に寄生している蟲を倒すのは簡単だ。
問題となるのは……
「確かにこれなら人の体内に入る事も問題なく出来るでしょう。ですが、相手は心臓に寄生している蟲ですよ? この紅茶のカップのように、目で見える位置
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