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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(上) 列島騒乱
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中、『待てば海路の日和あり』の一言でその後瞑想し、沈黙を守った司令官のシジマの言葉を信じ、懸命に闘い続けた。まさに奇跡といえよう。
 そして、午後1時、海路の日和は来た。

「シジマさん! 敵の包囲が薄くなったわ!」

 第三軍に所属していたカスミがシジマに上機嫌な様子で言った。
 気分を盛り上げるため甲冑姿で出陣していたシジマはこれを即座に脱ぎ捨て

「いよおおおおおおおおおおおおおおおおし! これより脱出を開始する! ワシとカツラ殿に続くのじゃ!! これ以上の西進は全滅を招く故、すぐさまアサギに帰還する! 余計なことを考え遅れをとれば死ぬぞ! かの島津義弘公の如く一心不乱に南へ向かうのだ!!」

 その言葉と共にシジマは褌一丁で先陣をとった。カツラも負けじとばかりに進撃を続け、それにあてられたかのように第三軍の面々は獅子奮迅の勢いで脱出を開始。見事わずか30分で敵の包囲を潜り抜け一人も欠けることなくアサギに生還した。
 シジマの放った「島津義弘」の一言でこれは後に史実になぞらえて「シジマの退き口」と伝わる伝説となった。
 これによって西方攻略軍は大きな損害を被り、アポロはアサギ侵攻を断念。38番、39番道路を占領してこれを留めた。
 一見勝利に見えるが目算が外れたアポロ自身からすれば敗北も同然であった。
 さて、ここでここまで放置されていた第二軍を見てみよう。

―午前4時 36番道路―

 司令官のマチスは翌朝早々に叩き起こして、全員を36番道路まで向かわせた。
 前日のビアガーデンの件もあって不信感が軍の成員に漂っている。
 マチスは作戦会議を開き、ハヤトを呼びつけて話す。

「ヘイ、ミスターハヤト。この段ボールをユーの持つ飛行ポケモンたちにくくりつけるネ」

 マチスはハヤトの前に30箱を優に超えると思われる段ボールを取り巻き(ジムトレーナー)に台車で持ってこさせてハヤトの前に出した
 ハヤトはなんとなく箱の一つを持って見せる。

「う……重っ! 何入ってんですかコレ」
「ビリリダマのアソートメント(詰め合わせ)だヨ!」

 マチスは満面の笑みでそう答えた。

「ビ……ビリリダマァ!? ちょっと! 感電したらどうしてくれるんですか!」

 飛行ポケモンに電気が弱いのは周知の事実である。ハヤトの激怒は当然のことだった。

「OKOK。そういうと思って段ボールにはちゃんとゴムが貼ってあるヨ」
 
 と、言いながらマチスは箱の中をチラッと見せた。確かにしっかりゴム張りにしてある。
 納得したハヤトは少々不機嫌そうに尋ねる。

「それで、これをどうするって言うんですか」
「カンタンに言えばエネミーにこれをばら撒くネ!」
「それが?」
「ニブいネ! 大爆発でドドドドドーン
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