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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十一話 広がる波紋
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タル殿のいうように慎重を期して然るべきだの」
そうヤナギが諭すとイブキはようやく沈黙した。
少し間を置いて、ワタルが続ける
「話を戻して……。とにかく、これから作戦を話す」
と言いながら、ワタルは円卓に広域の地図を広げた。
チョウジタウンから42番道路までを範囲とし、北側にはいかりの湖を収めている。
「敵はおそらく東側ゲートより一斉に打って出てスリバチ山を経由しつつ二つの池を渡ってチョウジへ向かうつもりだろう」
ワタルは大きく赤い矢印を二つ描く。
「我々第一軍はスリバチ山に本陣を設営し、ここで総指揮を執る」
ワタルはスリバチ山の頂に青の凸字を描いた。
「スリバチ山ならば見晴らしも良く、戦地の概況がよく分かるであろうな」
ヤナギがそう評す。
「はい。しかし、ここはあくまで僕一人が指揮を取る場所として確保するつもりで、対抗する部隊はここ」
ワタルはチョウジ側の出入り口に青の二つ目の凸字を描く。
「で、敵が突入する前に各自、足の速いポケモンを予めここに置いてほしい」
ワタルはエンジュよりの原に黒い×字を描く。
「それで、適当に戦ったら、少しずつさりげなく退いていくんだ。それで、スリバチ山前のここまで引き寄せたらヤナギさんとレッド君とエリカ君がここで引き留める。注意して欲しいのは、ここで全力を出すのではなく、6,7割くらいの力に抑える事」
ワタルはスリバチ山の入り口あたりに二つ目の×字を描く。
「で、ここからが肝腎だから心して聞いてほしい。この中州で戦っている間に敵はどんどん前に寄ってくると予想される。敵の大半が池、もしくは池の周辺に来たと判断したら先ほどのように一斉にポケギアを鳴らすからそれがき次第、必ず飛行ポケモンでチョウジタウン近くまで引き上げる。控えも念のため」
ワタルは青い矢印で×印と凸字を陸側に大きく引き下げた。
「全員が引き上げたのを確認し次第、予め用意した運河の堰を切って意図的に氾濫させる」
ワタルはいかりの湖から強く青い矢印をスリバチ山の池まで引っ張る。
「それで、氾濫して敵方が慌てだした頃に、ありったけのポケモンを出して急襲する!」
引っ込めた凸字を黄色の矢印をエンジュ側まで引っ張り出した。
「慌てだした敵は算を乱して撤退する……と。こういう次第だ」
ワタルはやや息を切らして言う。
「悪くない作戦ですわね。環境にはあまり宜しくないですが、数の差が明らかにある以上このくらいの事をしなければ覆すのは難しいでしょうし……」
エリカがそう意見する。
「うん」
ワタルが心なしか少し嬉しそうにうなずく。
「しかし、運河の件ですが……いかりの湖からスリバチ山ま
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