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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十一話 広がる波紋
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き放った。
 集団催眠事件で得たポケモンたちも含めて改造ポケモンたちは様々な違法行為に酷使され、サカキはその悪銭を大いにため込んでいた。
 そしてその金で団員の再結集及び新規勧誘を行い今やロケット団は往時の頃以上の規模を誇っていた。

「エンジュの市民たちも捕えているようだが一体どうするつもりかの」
「見込みがありそうなのは新規に加えるつもりだが、それ以外は人質だな。女は上玉は俺の蒐集に加え後は団員の慰み者だ。東男に京女……。団員どももさぞかし喜ぶだろう」

 サカキはそう私信を述べる。

「フム……まあ好きにするが良い。ワシがこの町で欲するのはマツバ君のみだからの」

 オーキドがそう返すと

「貴様! 約束が違うではないか!」

 開戦の一報を聞いた学長が青い顔をしてすっ飛んできた。

「はて、約束とは……?」
「貴方とロケット団の研究に文句を言わず従っていればエンジュの市民たちには手を出さない! そういう約束だったはずですぞ!」
 
 学長は大いに憤慨している様子である。しかしオーキドの反応は冷淡かつ冷酷なものだった。
 オーキドはそれに対し鼻で笑い、

「我々の研究に手を貸す……。背後にロケット団もいるというのに、その言外の意を汲み取らず承諾したのは他ならぬ貴殿ですぞ。それすら汲み取れぬとは……それでもジョウトの多士済々(たしせいせい)が集う学び舎を治める人間かのう?」
「しかし」
「つまらぬ者の戯言など聞きとうないわ。おい連れて行け」
「ハッ!」

 学長は闇の彼方へと連れ去られる。

「全く……どうして人間というのは……ここまで凡夫が多いのかのう……」

 オーキドはそう呟き、ため息をつく。
 碁盤の目は迅速な勢いで黒く染められつつあった。

―午後2時15分 エンジュジティ 羅城門付近―

 マツバや舞妓、ジムトレーナーたちの奮戦によりどうにか羅城門までたどりつき、エンジュジムにまでたどりついた避難民約六十万人を3時間かけて無事に避難させることが出来た。
 しかし時には折しもゴールデンウィークの真っ最中で観光客が多くいるせいもあり、ここまで救出に成功してもエンジュにいるとされる三分の一程度しか脱出に成功していない。
 ゲート封鎖前や寺院に逃げ切れたのを含めても6割に届かない。
 その為、とりあえず門から出られた人々を見送ったのち、残っている市民たちを救うために舞妓とジム方が二手に分かれて救出にむかった。
 しかし戦力が分断されたことによりただでさえ劣勢だったのが更に分が悪くなってしまう。
 救いに行った舞妓たちは一度か二度は戻ってしめて3000人ほどを新たにエンジュ市外へ送り出したがやがて全員帰ってこなくなってしまった。
 いよいよ。敗北の二文字が現実として
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