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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十一話 広がる波紋
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かいないんだ」
「分かりました」
それ以外にもナツメは自前の超能力の恩恵で索敵にも現役の忍者であるキョウやアンズと比肩すると目されるほど非常に優れているため、戦況の詳細を逐次伝える役目を担っている。但し何分敵が多すぎるので万一の事を考えワタルはこの段階での潜入調査は断念した。もしまたジムリーダーが囚われればリーグの責任問題だけではなく戦局に甚大な影響を及ぼすのだ。
「スリバチ山入口付近に置かれた人々は翌日早朝にそこまで移動するように。攻撃や戦地での采配などはヤナギさんにすべてを任せる。レッド君とエリカ君はヤナギさんの命に従うように」
「うむ。任しておけ」
ヤナギの一言は自信と余裕に溢れていた。ヤナギ配下に置かれた二人にとってどんなにそれが心強かったかは語る間でもないだろう。
「後の控えはイブキだけど……。最後まで基本的には動かずに、但しもしも戦況が危うくなれば救援を頼むかもしれないからその時は宜しく」
「分かったわ」
「いいね? 勝手に動かないでよ? いくらドラゴンが強いといっても限界がある。どんなに動きたくてもひたすら指示が来るまで待つんだ」
ワタルはイブキの性格を幼いころから知っているだけあり、念入りに釘を刺す。
「うるさいわね! 分かってると言ってるでしょ」
イブキは少々苛立っている様子の声で答える。
「ほらそういうところ……。全く君は師匠の下に居たころから全然変わってないんだから……。こんなことならフスベに待機させておけば」
「ワタルもそういう心配性な所全然変わってないわね……。だから大丈夫だって。理事長様の指示が来るまでしっかり待ってますわよー」
イブキはあてつけがましい声でそう返答する。
「心配させてるのは誰のせいだよ全く……」
「あの、一つ疑問に思ったのですが」
エリカがワタルに尋ねた。
「ん? 何だい」
「作戦の要となる運河の件ですが作戦に間に合う見込みはあるのですか?」
彼女がそれを尋ねるとワタルは渋い顔をする。
「分からないとしか言いようがないね……。タケシ君には既にこの件は伝えてあって当人は不眠不休で掘削を続けると意気込んでたけど……。三日を一日……いや半日で達成するだなんて果たして出来るのか……。でも僕は土木の事はあまり詳しくないし、彼を出来る限り信じるよ」
「でしたら私が手伝おうかしら?」
イブキが提言したが
「気持ちはありがたいが駄目だ。運河の工事は大変な労力を伴うしただでさえ少ない戦力をこれ以上割くことはまかりならない。諸君もどうかそのあたりを分かってくれ」
戦いの最中に傷薬など回復道具を使う余裕は無い。ワタルは苦しそうな心情が十二分に伝わる声でそう言った。
この戦いは断崖絶壁の綱渡りの如く
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