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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十一話 広がる波紋
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す。

「おい言っておくが私じゃないぞ」
「出所の見当は大体ついてるからそれはわかってるって。その前に君はまだ二人に直接会ったことすらないだろう?」
「まぁな」
「話を戻そう。それで……」

 マツバはレッドと戦った時のことをミナキへ簡潔に話した。
 問大文字の事やレッドのエリカに対する思慕の強さなども交えつつ五分ほどで大体の事は言う。

「へぇ、それほど強くなっていたのか……」
「うん。先月の終わりくらいに会ったときとは別人なくらいにね。なんとなくエリカさんがレッド君に惚れる理由も分かった気がしたよ。でも、なんというかな……負けた分際で何を言うかと思うかもしれないが、どうも主体性がそれほど感じられなかったんだよ」

 ミナキは目をやや細めて尋ねる。

「主体性?」
「一見レッド君自身がグイグイ引っ張っているように見えるが、その実、流されやすい一面もあるように見えたのさ。まぁエリカさんは存外強かだからそのせいもあるんだろうけど……」
「へぇ……」

 ミナキは納得いっているのかどうかは窺い知れないがとりあえず相槌をうっている。

「願わくばそのわずかな心の弱さが夫婦の行く先に影を落とさないことを祈るばかりだけど……」

 そういいながらマツバは用意していた煎茶を啜る。

「そうだな……、ところでマツバ、今日私を呼びつけたのはこの意見書についてか?」

 マツバはミナキの質問に対し、湯呑みを机において話す。

「うん。これは前渡したやつのいわば改訂版だ。僕の身に何か起こったらこの書類をあの二人に渡してくれ……。今回はどういうわけか命が助かったが、明日……いや、今日にも命を落とすかもしれない。リーグも勿論頼りにしているが、それが万一叶わなければあの二人がきっとやり遂げてくれるはずだ。レッド君やエリカさんなら組織の都合でなく自身の良心に基づいて動くと信じている」

 その後、ミナキとマツバは夜遅くまで歓談しあっていた。
 翌朝、ミナキは早々にエンジュを発ってスイクン探しの旅に戻る。

―4月30日 午前10時 エンジュ市街―

 悠久の古都は今や阿鼻叫喚の有様と化していた。
 突如、エンジュ大学構内より数万余とされるポケモンたちが放たれ、市民たちを襲い始めたのだ。
 後ろからはロケット団とみられる黒づくめの団員達が指揮を取り、ポケモンたちはそれに隷従していた。警官隊や機動隊も即座に出動したが敵はこの程度の装備では全く歯が立たないほど強く、敗れ去ってしまった。
 当然、このことはジムにすぐさま伝えられ、マツバを筆頭に舞妓とジムトレーナーたちが事態の打開にあたる。
 ポケモン関係の事案で最後に頼られるのはジムリーダー、引いてはリーグなのだ。
 
―午前10時30分 エンジュジム 入口付
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