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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十話 春の嵐
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「ここがフスベシティか」
「いよいよジョウト最後のジム戦ですね! お互い気合を入れましょう!」
「おうよ! 気張っていこう」
レッドはまだ緩みが締まってはいなかったが、一応ジム戦の前なので気合を入れた。
―同日 午後2時 フスベシティ ポケモンジム―
マグマを越えてイブキの所まで辿り着くと、彼女は穏やかな様子で出迎える。
「初めまして。よく来たわね、お二人さん」
イブキは露出度の高い服を着ており、ワタルと同じくドラゴン使いのトレードマークといえるマントを羽織っていた。
レッドは目のやり場に困っていたが、挨拶もそこそこに彼女は自己紹介を始める。
「私の名前はイブキ。この格好を見て察しはついていると思うけど、ドラゴン使いとしてこの街に生まれ、ジムリーダーを務めているわ。ドラゴンの特徴はそのパワーね! ここまでのジムに出てきたようなポケモンとは一線を画する猛烈なパワーを持ったポケモン……それがドラゴンよ」
レッドは一度ワタルと戦っている為少し高をくくってこう言う
「いやドラゴン使いとはワタルさんと一度戦ってるんで……」
ワタルの名を口に出すと、イブキが顔を歪ませ
「ワタルなんかと比べないで。確かに私はリーダー、彼はチャンピオンで立場は少しばかりあいつの方が上かもしれない。でもね、フスベで修行していた頃は、実力は拮抗していたのよ? 二代前のリーダーだったお師匠が四天王になった時にその座を巡って戦ったときも私は決してあいつに引けをとってはいなかったわ! ワタルとはまた違う私の戦いを見てなさい」
イブキはワタルに対して強い対抗心を抱いている様子である。
レッドは、そんなイブキの態度に身の程知らずなどと感じるのであった。
「行きなさい、ギャラドス! チルタリス!」
――
レッドは二体、エリカも二体を失った。
「そんな……この私が負けるだなんて」
レッドの所感は、強い事には強かったが、ヤナギには遥かに及ばなかったというものである。
しかし、イブキはレッドの想像以上に強情な人物であった。
「フ……フン! これは何かの間違いよ。負けた私がいうのもなんだけど、貴方たち二人そののろけぶりじゃ全国制覇なんて無理に決まってるわ」
レッドは、そんな悪あがきに対して、何それ嫉妬!? 嫉妬ですかイブキさん!? などと、口には出さなかったが、心の叫びをしていた。
「か……勝手に決め付けないで」
エリカの発言を遮るようにイブキは言う。
「そうだわ! このジムの裏に、龍の穴っていう場所があるの。中央に
祠
(
ほこら
)
があるからそこに行ってごらんなさい。もしもそこで、あなたたち夫婦の覚悟が本物だと認められたなら、私も貴方たちがジムバッ
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