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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十話 春の嵐
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変えた。
レッドが最初にカントーに出ていた頃はまだ天候を変化させる技を覚えさせていなかった。しかし、ラジオで情報収集しているうちに天候技を知って修行によって習得させたのだ。
これによって天候がかわり、砂嵐が晴れ、雨が降り出した。
砂嵐の時よりは視界が良くなったのでバンギラスの所在がはっきりと分かった。相変わらずの恐ろしい形相と雄姿であり、ポケモンたちは戦慄している。
「カビゴン、前に出てくれないか」
レッドは一番バンギラスを見て平然としていたカビゴンにそう指示した。
カビゴンはのそのそと最前列に出た。
やがてバンギラスは猛然と突撃を敢行する。どうやらギガインパクトと呼ばれる技のようだ。それはカビゴンに直撃し、三分の二を失わせる大ダメージを被った。
「カビゴン! ばかぢからだっ!」
カビゴンは仕返しとばかりにバンギラスに突っ込み、猛然とバンギラスを叩きつける。その最中にバンギラスを袈裟がけに大きく引っ掻いて見せ、シンボルともいえる青菱に傷を残した。
バンギラスはその行為が逆鱗に触れたのかカビゴンを突き飛ばした後、周りの鋭利な岩石を迅速に集め、数十個持ち上げて、パーティーに思い切り投げつける。
「う、うわああああああああああ!」
この技にレッドのパーティは甚大な被害を被る。
レッドは気息奄々となったパーティを見て思わずそう叫んでしまった――
―同年 4月25日 午前3時 氷の抜け道―
レッドは半身を飛び起こした。
「はぁ……はぁ……なんだただの夢か……」
あの後、レッドは三時間かかってどうにかバンギラスを制し二度と山を荒らさないことを誓わせた。
しかしその代償はあまりにも大きく、レッドのパーティが精神的に立ち直るまでには数週間の時が必要だった。
レッドにとって二度に亘るバンギラスとの戦いは大きなトラウマであり極力思い出したくない出来事なのだ。
まだ心臓が激しく鼓動を奏でており、冷や汗をかいている。
「くそ……。嫌な事思い出しちまったな……」
そう呟きながらレッドは再び寝袋に入る。
しかしなかなか寝付けず結局翌朝まで置き続けた。
――――――
その後何日かかけてフスベへと進んでいった。
―フスベシティ ドラゴン使いたちの集まる町。龍の穴はミニリュウやハクリューの分布地として高名で、乱獲を防ぐ為に現在はジムリーダーのイブキがここを守っている。ポケモンの技に関するところでも有名で、覚えさせるも忘れさせるもフスベに行けというのが最近のトレンドでもない。
―4月28日 午後1時―
フスベシティは山間部にあり、周りには高い山が聳え立っている。
44番道路の時とは違い、この日は飛騨山脈からの寒い北風が吹いていた。
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