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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十話 春の嵐
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ほどでレッドとエリカは手持ちのポケモンと一緒に写真を撮った。
エリカは、ゲンゾーから貰った写真をまじまじと眺めていた。
レッドとエリカの後や横には、それぞれの手持ちが持ち主の近くについている。
こうして見ると中々に壮観である。どうでもいい情報だが、ピカチュウはレッドの右肩に乗っており、顔を強張らしていた。
「まぁ、綺麗に撮れてますわね!」
「プロのフォトグラファーだしな。つかあの人シロガネ山にも居て凄く驚いた覚え」
レッドの発言を彼女は遮って
「貴方のお顔、とても可愛いですわ!」
エリカは興奮しているのか、止まらない様子だ。いつになくでもないが、
饒舌
(
じょうぜつ
)
だ。
しかも、レッドは帽子を被っているにも関わらず、エリカは顔をハッキリと判別できるらしい。恐ろしい。
「これは一生の家宝に……キャッ!」
エリカは氷床の上でうっかり転んでしまう。
「全く、写真ばっかり見てるからさ。ほら、捕まって」
レッドはエリカに手を差し出す。
エリカはやはり慣れていないのか少々躊躇したが、やがてゆっくりとレッドの手を掴む。
「貴方……ありがとうございます」
「いいんだよ。夫婦、だろ?」
こうしてレッドはエリカを助け起こした。
二人の本当の夫婦としての自覚は少しずつ芽生えていくのだった。
―2013年 1月某日 シロガネ山 最奥部―
それはレッドがエリカと旅を始める少し前の事。
レッドはおよそ一年前にパーティをボロボロにされたバンギラスに復讐を果たすために最奥部へ足を進めていた。平均レベルは60から75へと大幅に上昇し、レッドは満を持してバンギラスを倒す腹積もりである。
一か月前からバンギラスが再び最奥部に出現し、度々シロガネ山全体を揺さぶるほどの大暴れをしていた。
最奥部へ足を踏み入れると、真冬だというのに雪ではなく強い砂嵐が吹き荒れていた。
「たく、相変わらず立ちすくみたくなる雰囲気だな……」
レッドはシロガネ山の最奥部側の出口に立ち、パーティの先頭に立ってそう呟いた。
「ドシドシと足音が聞こえるな」
カメックスがレッドに言う。
確かにバンギラスのものと思われる重々しい足音が聞こえてくる。
「よし。まずはバンギラスを引きつけよう。カメックス!」
「あいよ!」
カメックスは前に出て砲筒から奥に向かって大量の水を放出した。
これは大きな音を生じる上に砂塵の中の水はとても目立つ為有効な手段である。
案の定バンギラスは気付いたようで、ズシスジという足音が前よりも明らかに大きく、レッドたちのいる方向に歩いていることが分かった。
「ラプラス! 雨乞いだ!」
ラプラスは雨乞いを行って天候を
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