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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十話 春の嵐
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。
「なんや、分からんかったか? 全くし、しゃーないな、オ」
「いえいえ結構です! そ、そうですかそこまでツクシさんのことを思っていらしたとは……」
「ウチも時折自分が怖なるわ……。ここまで人を好いたんは初めてやし、もう金輪際ないと思うし……。出来るならモノにしたいねんやっぱし」
アカネは迫真めいた様子で言う。
「それで私にそれを言ってどうするというのです?」
エリカは最も疑問に思っていたであろうことをアカネに訊く。
「あんな……さっきも言うたけどチャンスが潰れとるし、この恋がどうにかなる可能性は限りなく0に近いんわウチもようわかっとる。ツクシはもう遠くに行ってしもたし、そもそもツクシの気持ちがウチにむいとらん。どこまでいってもウチの独り相撲やわ。せやけど、この気持ちを一人で抱え込むんわえろう辛うてな……。こんな事言えるのエリカしかおらへんし、少し愚痴に付き合うてもらいかったんねん」
「なるほど……」
「すまへんな。夜遅いのにこんなんつき合わせてしもうて……。少しはすっきりしたし、もう寝るわ。ほな……お休みぃ」
こうしてアカネとの通話は切れた。
その後彼女は氷の抜け道を目前に据えながら黄昏れ、うとうとしてきたため戻ろうとする。
するとレッドがテントより姿を現した。
「おお、エリカか……」
「あら貴方、どうされたのです?」
「いや冷えてるせいかトイレに行きたくてな……。お前こそどうしたんだ」
「はい、ポケギアに着信があったものですから、テントを出てお話してただけです」
「ん……そうか」
そう言ってレッドは公設の手洗いへと向かった。
エリカはレッドの後姿をどこか乾いた目で見つめていた。
―4月24日 午前9時 氷の抜け道―
氷の抜け道は氷柱や氷壁で構成されるフスベとチョウジを結ぶ洞窟である。
中は非常に寒く、外は春でも中は冬のごとき寒さとなっていた。
「寒い!」
レッドは氷の抜け道に入ると開口一番にそう叫んだ。
「あの時のシロガネ山を思い出しますわね……」
レッドとエリカは奥へと進んでいった。
奥に進むと、少し髪の状態が宜しくないおっさんが、カメラ抱えて話しかけてきた。
「意外なところでコンニチワ!わし、カメラおやじのゲンゾーです!フォトジェニックな君達い!記念写真撮っていかなーい?」
何とも快活で馴れ馴れしい口調である。
しかし、エリカはさして悪い気がしなかったのか、レッドにせがむ。
「こういう所で撮るのもまた乙なものですわね。貴方!撮りましょ」
その可愛さに心動かされているレッドの内心などお構い無しに、エリカはサッと位置について、レッドもやれやれといった心持ちで位置につく。
こうして、10分
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