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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十話 春の嵐
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いというか……」
「何を仰せになるのです。お気持ちは分からなくもありませんけれどね、勝って兜の緒を締めよという諺にもあるように勝ったからこそ身を引き締めなければなりませんわ」
エリカはやんわりと和やかな口調でレッドを諌めた。
「うん。わかっちゃいるんだけどな……」
そのような様子で二人は道路を進んでいく。
―午後11時 44番道路―
氷の抜け道を目のの抜け道―
前にして二人はテントを設営した。
日が沈むと途端に肌寒くなり、雲も多くなる。
レッドが寝静まった後、エリカのポケギアが鳴り響く。彼に遠慮したエリカは一枚上着を重ね着し、テントを出て岩の上に腰掛け、電話を取った。
ポケギアの通知欄にはアカネと記載されている。
「もしもし? アカネさんですか?」
「せやで。久しぶりやねー。かれこれ一月ぶりくらいやったっけ?」
アカネは相変わらずの快活な様子で話している。
少しばかり近況や世間話をするとアカネは押し黙ってしまった。
「あの。アカネさん?」
「な、なんやの?」
「私に電話をしたのは何か用事があるからではないのですか?」
アカネがこうしてエリカに電話してきたのは初めてではないもののかなり珍しいことである。
彼女はそれを不審に思ったのかそれについて尋ねた。
「あぁ……うん、せやで」
しかし彼女はなかなか切り出せないでいる。
そこでエリカは追い討ちをかけるように畳み掛ける。
「もしかして、ツクシさんのことではないですか?」
「え……ええ!? ど、ど、どうして分かったんよ!?」
アカネは酷く狼狽した様子で応える。
「いつも歯切れのいい貴女がそうもったいぶるのは恋愛の事と決まってますわ」
エリカは朗らかな声でそう言った。
「ハァ……全くあんたには敵わへんなぁ……」
アカネは観念したかのような様子である。
「まだツクシさんの事を好いておられるのですか?」
「え……ま、まあなぁ。諦めよう思うて仕事に打ち込んだりしたさかい。せやけどあそこまでウチのハートを射止めた男はおらへんし……諦めるに諦めきれへん……」
アカネは切々とした様子で言う。
「左様ですか……。しかしツクシさんは3月末にリーグを辞して今月よりウツギ博士の研究所の研究員としてワカバタウンにまで行かれたのでしょう? 風の便りで聞きましたわ。接点がなくなった今、こうなった以上もう諦めるより他に道はないのでは……」
「そないな事くらいわかっとるわ! 頭ではわかっとるんやけど、中々思い切りがつかんねん。せやから……毎夜毎夜ツクシの事を偲んで慰めてるくらいや」
「な……慰めているってもしかして」
エリカはほんのりと頬を上気させながら尋ねる
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