暁 〜小説投稿サイト〜
伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第九話 厳冬の果てに
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レーナーは何度となく見たものよ!」

 なんということだろう。二人が懸命に生み出した策はいずれもヤナギの想定内だったというのだ。
 ヤナギの恐ろしさをまたも体感するとともにいよいよ追い詰められている事をレッドは深く自覚する。

「つっ……。なんてこった」

 先ほどのハイドロポンプでリザードンは三分の二の体力を失う大ダメージを受けた。

「マンムー! ルンパッパに雪なだれだ!」

 ルンパッパに天空から雪の大群が襲い掛かる。無論一たまりもなく倒れた。
 いよいよ二対二にまでヤナギは追い詰める。
 ルンパッパを戻すとエリカはモンスターボールを10個ほど左手に載せて思案していた。いずれも彼女が手塩にかけて育てた精鋭たちである。
 とはいえ、やはり圧倒的に不利なタイプで戦っているため相当選定には苦労している様子だ。

「エリカ、迷ってるみたいだな」
「ええ……。このような状況、生まれて初めて直面しましたから……。まさかブリザードの現象が技として成立するだなんて思いもしませんでしたわ」
「そうだよな……それにしてもこれってこんなに雪とか風が強く降るのか。寒いところは大変だろうな……」

 と、つぶやいているとレッドはあることに気付く。
 そう、ブリザードを構成するのは視界を真っ白にするほど厖大な量の雪と万物を凍りつかせる冷風である。

「エリカ……確かお前の手持ちにダーテングがいたよな」
「はい」
「ダーテングは確か手に持っている葉っぱに強風を起こす作用があったとかラジオで聞いた覚えがあるけど」
「ええ、ですからこのポケモンは追い風を覚えますし、私のダーテングも覚えてますわ」

 レッドは数秒ほど黙したのち

「そうか……よし、これなら行けるぞ。エリカ、ダーテングを出してくれ。俺のリザードンは大文字のパワーポイントが切れた保険として熱風を最近覚えさせていたんだ。つまり」

 ここまで言うとエリカは合点がいったようで

「なるほど、そういうことですか。分かりましたわ。おいでなさい、ダーテング!」

 ダーテングは下駄を悠然と闊歩させながら出てきた。

「リザードン! 熱風だ!」

 リザードンは指示が下るとブリザードの空間に向かって、灼熱の熱風を放出する。
 熱風は程なくしてブリザードに到達し、風を取り込んで雪から雨へと変え、やがて何も降らなくした。
 しかし、その範囲は空間の半分にも届かなかった。

「この程度の技でブリザードが消えるとでも思ったのか。残念だの。そろそろ幕を引くとしよう。マンムー……」

 ヤナギの指示が下るよりわずかに早くエリカが

「ダーテング! 追い風です。上に煽り、熱風を吹き上げなさい」

 ダーテングは芭蕉扇にみたてた木の葉を大きく振り続けた
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