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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第九話 厳冬の果てに
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札を見てみたくなってな。こうするしかなかったのだ」

 ヤナギは仄かながら言葉に謝意を含めつつそう言った。

「強硬手段という訳ですか……。こうなったら致し方ありませんね」

 レッドはエリカを見る。

「もう十分に時は稼げました。今こそが好機です」

 エリカは小さな声でレッドに言う。

「よし、行け、カメックス!」

 カメックスは漸く出番が来たかと言いたげな風で意気揚々とフィールドに立った。

「ユキノオー、カメックスにウッドハンマーだ!」

 ユキノオーは即座に自身の胴体を渾身の力でカメックスに頭から叩きつけた。
 その音は非常に鈍く、鉄の如き堅さが彼を襲った。カメックスは咄嗟の判断で甲羅に籠っていたとはいえフィールドを広くめくり上げ、その周囲にヒビを作ってしまうほどのダメージを受ける。
 しかし、相当に鍛えていたことが功を奏し、HPは三割ほど残る。
 一方のユキノオーは反動で三割ほどダメージを受けていた。
 エリカは好機とばかりにいきいきと

「ルンパッパ! ユキノオーに塩水です!」

 と指示した。
 ルンパッパは口から高濃度の塩水を噴出し、ユキノオーにぶつける。
 目論み通り、氷タイプのユキノオーには大いに効き、大量に雪を溶かしてユキノオーは瀕死になり倒れた。

「やった……」

 レッドは思わずそうつぶやいた。
 作戦通りになったから当然と言えば当然である。
 しかし、ヤナギは静かに笑ってこう呟く。

「小賢しいのうご両人……。この程度の策で雪柳が折れると思うたか」
「な……何ですって?」

 二人は目を白黒にして答える。

「まあ、今に分かるわ。行け、マンムー」

 マンムーは前回同様堂々たる姿でこの場に姿を現した。

「レッド、エリカ女史……。本当の冬の厳しさというのをとくと味わうが良い! マンムー、トドゼルガ! ブリザードだ!」

 指示が下ると数秒の沈黙の後、二匹は厖大(ぼうだい)な量の風雪を放出し、フィールドはあっという間にブリザード状態になった。
 ブリザード。本来は極地に見られる地吹雪であるが、
 攻撃又は特攻種族値が80以上ある氷ポケモンが同時に吹雪を使うと発生させることが出来る……というのは理論上の話で、その他にも懐き度のみならずそれ以上の相当な信頼関係を構築せねばならず、これを習得できたのも、そして、この技自体を発見したのもヤナギ自身である。
 そして、その効果も労力の対価に見合ったもので、数ターンブリザードは吹き荒れて、その間相手の命中率が4段階下がり、毎ターン氷ポケモン以外は四分の一ずつ体力が減っていく。吹雪は必中になり、氷技の威力は二倍となる。そして何よりも恐ろしいのは……

「つっ……。こんな程度で負けてたまる
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