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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第九話 厳冬の果てに
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ューラ、フェイント」
と指示した。
マニューラは自慢の鉤爪を壁にやってまもるの結界を破壊し、そのついでにカビゴンの腹を強く掻く。
幸いにもフェイントはノーマル技の為、カビゴンには大したダメージにならずどうにか耐えた。
レッドはこの事態に目を白黒させる。まさかフェイントという技をここで見るとは思ってもみなかったからだ。
「う……嘘」
と、思わず呟いてしまった。
「甘いのう。レッド。きっとこれはエリカ女史からの差し金であろう。仮に君ひとりならば温存しようとポケモンを交替しただろうに……」
「グッ……」
またもヤナギに心を読まれていたようだ。ヤナギの冷徹な老眼は何物をも見通すのかとレッドは足を
竦
(
すく
)
ませる。また、あの時の金縛りに似た感覚がよみがえりつつあった。
「まぁ良いわ。フェイントを耐えきったというのはちと考えてはおらなんだが……。これでしまいにしてくれる。ジュゴン!」
ジュゴンは水中から銃弾の如く姿を現し、そのままカビゴンのどてっ腹に突撃を試みる。
まもるという結界が破られた今、無防備なカビゴンを守るものはなにもなかった。
「ルンパッパ! ソーラービームです!」
長い間貯めこんでいた
奕奕
(
えきえき
)
と輝く光線がジュゴンを太く貫いた。
あと2秒指示が遅れていれば間違いなく、その場にはカビゴンが倒れていたが、現実にはジュゴンの横たわった姿がカビゴンの薄い目に映っていた。
ヤナギは静かにジュゴンを戻し、
「ほう。ちと読み違えたな……。それはカビゴンの邪魔となるマニューラに向けられるとばかり思っていたがの……。やはり読み切れぬ御仁よ。エリカ女史。女史の祖母君のカルミ……いや、カルミア殿とよく似ておるわ」
と彼女に言う。レッドにはなぜヤナギがわざわざ言い直したのかが理解できなかった。
「この方と共に過ごした捲土重来への日々を、そう易々と無にされてなるものですか……。お祖母様の名を出して私の心をかき乱す算段なのでしょうがその手は食いませんわ」
「敵わぬのう……。だが次はそうはいくまい、行け、ユキメノコ」
―――――
それから二人はユキメノコやマニューラを撃破した一方、双方の手の内を見せずにどうにか粘り強く耐えてきた。
エリカはルンパッパを一時戻してキノガッサを繰り出したが、カビゴンがマニューラを下したしばらく後にユキメノコの吹雪を食らって倒れ、カビゴンもその時にねむるで回復した分を大幅に削られてしまった。
三度の作戦会議や数々の長考を経て勝負開始から三時間以上が経過し、ヤナギは残り三体。レッドとエリカは残り五体と数の上ではレッド側が有利に思われるがヤナギの真打がまだ姿を見せていない以上まったく予断を許さない状況である。
本当の
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