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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第九話 厳冬の果てに
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う。この夫婦の切り札は塩雪戦法とリザードンの問大文字だ。因みに塩雪戦法を出す合図はカメックスを出したときにと口裏を合わせている。
つまりレッドに選択権のある三匹のうち、二匹は既に固定されている。レッドは面白くないと思いつつもカビゴンを温存するならばやはり切り札のうちどちらかを出すしかないという事にいきつく。
この間の思考で二分かかっている。そして、ではどちらを出すかに関してレッドの頭中では
甲論乙駁
(
こうろんおつばく
)
の議論が繰り広げられた。
「貴方。どうされたのです?」
レッドの動きが止まってから五分。長考を気にかけてかエリカが話しかけた。レッドは小さな声で自らの思案を明かす。
「なるほど……左様でございましたか」
彼女はそういうと数秒考えたのちに
「貴方。ここで手の内を明かすことはありませんわ。まだまだこの戦いは始まったばかりです」
彼女はレッドの思案をきっぱりと否定した。
「いやだってこの状況だぞ……? どうあがいてもこのままだとカビゴンは犬死にだ」
「それこそがヤナギさんの策かもしれません。交替を迫って手持ちに余裕があるうちに奥の手を披露させ対策を練るという……。まだ相手の手持ちが削れていない現時点でそれに乗るのは愚考というものです」
「それはそうかもしれないが、じゃあどうしろって言うんだ」
「貴方、確かカビゴンにはまもるを覚えさせていましたわよね?」
「え……まあ」
レッドはとにかくカビゴンに時間を稼がせることを念頭に置いているため修行中に持久系の技を覚えさせ直していた。因みにほかの技はねむるといびき。
そしてレッドはエリカの言を反芻して漸くエリカの思考に察しをつかせる。
「そういうことか」
「はい。貴方ならばすぐにお分かりいただけると思いましたわ。さて、お年寄りを長く待たせるものではありませんわ。勝負に戻りましょう」
そうして、二人は配置に戻る。
ヤナギはレッドの動きが止まってから
床几
(
しょうぎ
)
に座り直し、杖をついて二人の動向を黙しながら見守っていた。
やがて二人が戻るとゆらりと立ち上がり
「長かったの。では再開しよう。マニューラ、カビゴンにけたぐり」
と言って、マニューラはカビゴンの足元に向かう。しかし、その動きは先ほどよりは少々
鈍
(
のろ
)
かった。
レッドは確かにそれを感じ取っていたが特に気に留めずカビゴンに指示する。
「カビゴン、まもるだ!」
カビゴンは即座に結界を作り、豪速で近づくマニューラより1mほど前にいかなる攻撃をも跳ね返す鉄壁を作った。
が、弁慶の泣き所というのはどのようなものにも存在するのだ。
ヤナギはあざ笑うかのように、わずかに口元を緩ませ
「
小賢
(
こざか
)
しいのぅ。……マニ
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