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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第八話(下) 赤き心は挫けない
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 エリカはナツメが冷静な声でとんでもないことを口走ったので慌てて止めに入った。

「冗談よ冗談。でもね。それだけのことをされているのよ? 未遂とはいえレイプは心理的殺害といっても過言ではないくらい深刻なものなのに」
「確かにそうです。しかし私が気づいたらやめて頂けましたし、私を本能の赴くままにどうこうしようとかそういう意思はさほどなかったように思えるのです」

 エリカの言葉を聞いてナツメはため息をつきながら返す。

「あんたねぇ……。なんでそこまでされているのに別れようとか思わないの? エリカの貞操そのものが危ないじゃないの」
「私は最終的にあのお方を伴侶にしてよいかどうか判断する為に一緒に旅をしているのです。私が夫に求めるのは色々な意味での強さをもっているかどうかで、正直それ以外の事に関しては強さほどには気にしておりませんわ。今日の一件につきましてもレッドさんは思春期ですし、異性がいつも近くにいてしかも一応妻という立場にあるのならば止むを得なかったと思いますし……」
「でもその強さもミカンちゃんに負けて崩れ去ったようなものでしょ? リザードンという強力な対抗ポケモンを持ちながら勝てなかった訳だし」
「そう言われればそうかもしれませんが、私はあれだけポケモンを大事に思える御仁ならばきっとこの逆境を乗り越えられるのではないかと思ったのですわ。ポケモン勝負に必要なものは知識と経験のみではなく、ポケモンとの信頼関係も非常に重要です」

 エリカの意見を聞いてナツメはどうにか納得したのか先ほどよりは落ち着いた口調で

「ふうん……。そういう事ね。それなりの考えがあって今に至っていると。でもあんたさ、レッドのその……色情というか性欲をうまく押さえこめる自信があるの? 思春期の男のソレは私たちの想像が及びつくようなものじゃないと聞いたけれど」
「それに関しては未だ強く拒絶しています。その……これは私自身全く未経験な事な故、怖くて覚悟が出来てないんです」
「未経験って……少し前まで私とあんなことしたりしたじゃない」

 ナツメは少々黙した後に勇気を振り絞ったが如くに言う。

「ど、同性と異性では勝手が違うではないですか! 男の人とはナツメさんの仰るように手……いえ体すら一分以上触れた記憶がないのです。ですから……」

 エリカは恥じ入った様子でナツメに話す。

「確かにそうだけれど……。とにかくこれから先もずっとレッドと旅するならばそういう性に関しての事? そのあたりも真剣に考えた方がいいんじゃないかしら」
「レッドさんとは約束しましたし、もう襲ってくるようなことはないと信じております。しかし、仮とはいえ夫婦である以上私のわがままばかり押し通す訳には参りませんものね……。ただどうしても躊躇してしまうので」


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