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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第八話(下) 赤き心は挫けない
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 それは一体どのような?」
「うーん……あまりはっきりと言えないんだけど、なんだかフワフワした感じのような変化ね。地に足がついてないというか」

 エリカはその一言に瞳孔を収縮させて反応する。
 しかし、そう簡単には認めたくないのか、彼女は少しばかり強い声で

「き、気のせいですわ! それはナツメさんの思い過ごしでは?」

 と返して見せる。

「そう? まぁそれはそれでいいんだけど……」

 その後も十分ほど会話して通信を切る。

「そんな……まさかこの私が……建前ではなく本当にレッドさんの事を……?」

 彼女は数分ほど突っ伏して考えた後、気にもんでも仕方ないと考えたのか本を読む。しかし、あまり内容が頭に入らなかったのか数ページ読んですぐにやめてしまった。
 それから二人はいつもの通りに諸事を済ませ、眠りにつく。

―4月22日 午前9時 チョウジタウン ジム前―

「よし……! いよいよか」
「はい。いよいよですわね」

 ジムに張り紙の類のものはなく、トレーナーたちも中にいる。
 いつ挑戦しても良い様子である。

「じゃあ、行くぞ」
「あ、あの!」

 エリカがレッドを呼び止める。

「ん。どうした」
「その、昨日漸く、届いたものなのですが……」

 エリカはバッグから一枚のCDROMを取り出す。
 水色に彩られている。レッドはそれに見覚えがあった。

「もしかして……それって、技マシン?」
「はい。中身はしおみずです。シジマさんの話でシンオウ地方にその技が多く使われているという話を思い出しまして……。屋敷の者に手配させたものが漸く届いたのです」

 彼女は勝負の時は切り替えようと、いつも通りの喋々とした様子で喋る。

「なんでそのことを今まで黙ってたんだよ」

 レッドはエリカに少々きつい口調で問い詰める。当然といえよう。これがあると知っていればわざわざ一人で修行する事など無かったのだから。

「貴方自身の力でこの状況を切り開けるかどうか知りたかったのです。ポケモンマスターを目指すものとしてそのくらいは出来て当たり前ではないかと思いまして……」
「そうか……。そういう事か。確かにこれがあると頼っちまうからな……」

 レッドは少々腑に落ちない様子ではあるが、これ以上の追及は止めた。

「この技マシンは一時的に体中を海水と同じ濃度にして、それをぶつける技です。つまり、先日ミカンさんにした海水でのハイドロポンプに近い事が可能になります」
「でも威力は?」
「そこもご安心ください。相手の体力が弱っている時ならば、威力が二倍になります。これはちゃんとしたポケモンの技であるが故につけられた追加効果でしょうね」
「そうか。分かった、じゃあ早速覚えさせる
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