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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第八話(上) 苦難と心と
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女が動いたのを見て、言葉を失う。

「ッ!!」

 彼女は上体を起こし、レッドの頬を平手打ちにした。

「な……何を考えているんですか!!」

 そして気色(けしき)ばんだ面持ちでレッドを叱り付ける。片手を毛布を掴み、素肌を隠す。

「ご……ごめん!」
「ね、寝込みを襲うだなんて! どうしてこのような事をなさるのです!?」
「襲うつもりなんかなかったんだ! 単に俺はエリカと愛の証になると思って」
「愛の証? 女性が無防備な時にむ……胸を触ることが貴方の申される愛なのですか?」

 彼女は冷ややかな視線をレッドに送る。

「あのさ……俺たちって仮とはいえ夫婦だろ?」

 レッドは冷たい視線に押し切られないようにするために少し語気を強めて言う。
 彼女は黙したままレッドを見る。

「だから……夫婦としてのスキンシップをとりたくて」
「ま……まだ旅をしてから二か月と経過していないのに急すぎます」

 彼女はレッドから目を床に視線を移していう。

「……、ごめん! エリカの気持ちを考えずにこんな……勝手なことして」

 レッドは起立して深々と頭を下げて陳謝した。

「あの……一つお聞きしても宜しいですか?」

 エリカはレッドに視線を戻し、真剣な様子で言う。

「な、何だよ」
「貴方はそれほど……その私の体に……興味がおありなのですか?」
「……ああ」

 最早寝こみを襲っているため誤魔化すだけ無駄だと悟ったレッドはそう言った。
 そして、そのまま逃げるように寝床に戻る。
 彼女は乱れた衣服を正し、体を落ち着かせるとしばらくその姿勢のまま考えこんでいた。

―同日 午前11時 アサギジム―

 一晩が過ぎた。
 レッドとエリカはいつもよりも遅い時間に起き、言葉少なげで気まずい雰囲気のままミカンのジムへ入る。
 ミカンは待ち構えていたかのように上座に佇んでいる。
 
「思ったよりも遅く来られましたね……。てっきり今日は来ないのかと思いました」

 彼女は少々意外な風の表情をして言う。

「えっとその準備をしていたらいつの間にこんな時間になってて」

 レッドは咄嗟にそう言った。実のところはレッドも大して寝ておらず寝坊しただけである。こういう時は普段エリカがフォローに入っていたが当の彼女はどこか上の空だ。

「そうなんですか。……、それはともかく。改めて自己紹介します。あたしはこの町のジムリーダーのミカン。使うタイプはシャキーン! と輝くは、鋼タイプです。ヤナギさんの弟子として貴方たちに負けるわけにはいきません。鋼鉄の守りをそう簡単には抜かせませんよ! 行って、エアームド、ハガネール!」

 こうして五つ目のバッジをめぐる戦いが始まった。レッドはラプラ
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