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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第八話(上) 苦難と心と
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ーンは快活な声でレッドに聞く。
 グリーンとレッドもナツメとエリカほどではないが連絡を取り合っていた。

「どうにかな。お前の言ったとおりにやったら身持ちの堅いあいつが少しだけ崩れたよ。抱き着いてきてくれた」

 グリーンは少々黙した後、元の声で言う。

「ハハ。だろ? 伊達にお前より女見てねーっての。いいか。ああいう堅い女はなぁ、多少手荒な真似をしてでもこっちからいかないと、いつまでたってもモノにすることは出来ない。なんたって自分の貞操や躰を大事に考えるんだ、自分からはそう易々と渡す訳ねえ」

 グリーンは立て板に水の調子で話す。

「ああ。そうだな。でも、まだ俺は自発的にあいつの体に触れることを許されたとかそういうわけじゃない。この調子だとエリカとそれなりにスキンシップを取るのですら時間がかかるなぁ」
「やればいいじゃねえか」

 その言葉を聞くと、レッドはわが耳を疑った。

「え? 何言ってんだ! エリカとはまだ手をつないですらいないんだぞ」
「お前は何を聞いてたんだよ! 手荒な真似をしてでも事を進めないと、ああいう女はモノに出来ないって言っただろうが」
「いや……しかしなぁ」
「そうやって言い訳ばっかりしてたら、いくら恋仲とはいえ、何もできないまま終わる可能性もあるんだぞ! お前はそれでいいのか?」

 グリーンは半ば脅しのような口調でレッドに畳み掛ける。

「グッ……」

 レッドはそうなることを何よりも危惧していた。
 彼自身の心中としては確かにエリカの体を欲していないといえば嘘になる。
 だが、彼女が嫌がっているのにも関わらず無理に事を進めていいのかという自制心も少なからず働いている。レッドはまず恋人らしいことを当たり前のように行える信頼、愛情の関係を構築することを第一に望んでいるのだ。
 そのため、それ以上の行為をするように勧めるグリーンの提言はあまりにも飛躍しすぎている。だが、このままエリカの体に指一本触れられないまま終えてしまうのもレッドの望む方向ではない。
 レッドは本能と理性の狭間で懊悩する。

「レッドよお。お前はもう進むしかねーんだ。果実を得たいなら、お前は一か八かの賭けをするしかない! いいか、お前が俺の言ったことに従ってエリカさんに抱き着かせようと別れ話を切り出した時点で賽は投げられてんだ。いい加減覚悟を決めたらどうだ?」

 グリーンは強い口調でレッドに実行を迫る。レッドは少しばかり沈黙した後、

「考えてみる。だけどさ……まさかお前の言うやるって……」
「フッ。そこは自分で考えろよな。おっと、もう彼女に会う時間だ。じゃあなレッド」

 と言って、グリーンは通話を切った。
 ポケギアをしまうとレッドは暫くその場に立ち尽くして考え込む。
 グリーン
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