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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第八話(上) 苦難と心と
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しながら
「は……はい。貴方!」
と続き、二人はカネの塔、そしてエンジュシティを去った。
―3月30日 午後8時30分頃 38番道路―
二人は道中でキャンプを貼り、野宿をしていた。旅を初めて数ヶ月が経過し、初めはアウトドアの実践経験が乏しく設営等に戸惑っていたエリカも手際よく行えるようになっていた。
二人は手持ちと共に夕食を食べ終わり一通りの世話を終えたあと眠りにつく。
世話といっても野宿の際は一定の区間を決めて放し飼い状態にして手持ち同士との交流を深めているだけである。(たまに野生のポケモンとも仲良くなる)
レッドはピカチュウやラッタ、カメックスなどなどとサッカーをして遊んでいた。一方でエリカは読みためていた本を読んでいる。基本的にエリカの手持ちは躾が行き届いているのか大人しい為あまり本人が手を煩わせることは無い。勿論エリカの手持ちも放し飼い状態で遊んでいる。
その為基本的に手持ちが構ってきた時以外は手持ちたちを横目にしつつ、読書灯持参のうえで本を読んでいる。この日も例外なくそうだった。
エリカが静かに本を読んでいるとのしのしと足音がする。リザードンだ。
リザードンは先ほどまでピジョット、ゴルバッド(ゲスト)とどっちが早く遠くに飛べるか競争していたが疲れて休憩がてらレッドとエリカのいるシートまで戻ってきた。
「あら、リザードンですか」
エリカは大きな影に気づくと本を持ったまま目線を上げて挨拶した。
「やあやあ姉さん。ちょっと疲れた茶をくれないか」
リザードンはそうエリカにねだる。リザードンとエリカはアクア号に乗る前、タマムシからクチバへ飛ぶまでの間から知り始めそれなりに関係は良好である。
リザードンの方もエリカの使用タイプからすれば天敵であるはずなのに存外柔らかく接してくれるので好意的な印象を持っていた。
そうでなくてもエリカはレッドの手持ちであろうと自分のであろうと分け隔てなく優しく接し、エリカさんと呼ばれる以外にも姐(姉)さんなどと慕われている。
「はい分かりました。少々お待ちを」
そう言って彼女は本を置いて、お茶汲みセットがあるテント内へと移る。
リザードンは暫く遊んでいるフィールドにたそがれた後、なんとなくエリカの置いて行った『菊と刀』と題のつけられた本に興味を示す。
相当読み古しているのかページは手垢で汚れてしまっているが、どことなく小奇麗で大切に保管しているのは見て取れる。気になったのでリザードンは本に触れようとする。
「リザードン! それはダメですっ」
いつの間に戻ってきていたエリカは煎れたお茶のあるお盆を脇に置いて、即座に本を取り返した。
「な、何をするんだい」
「これは本ですよ。食べ物じゃありません!」
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